横浜高校(金沢区能見台通)3年の銭本裕生さんが、8月16日・17日に行われた「第30回全国高校将棋竜王戦」で初優勝した。2月の高校文化連盟将棋新人大会と8月初旬の全国高校選手権と合わせ、高校の全国大会3冠という快挙を達成した。
決勝トーナメント当日、最初の戦いは午前7時40分から始まった。負けたら終わりという緊張感の中、銭本さんは、危なげなく勝ち進んだ。
決勝戦は伊藤学園甲斐清和高校(山梨県)2年の福田洸大さんと顔合わせた。序盤は攻められ「ずっと苦しかった」という銭本さん。勝負手の連続だったが、徐々に形成を盛り返し福田さんを追い詰めた。「ヘトヘトになったけど、竜王戦で結果を残せたのは嬉しい」と優勝の喜びを話す。
持ち時間各10分で、使い切ると30秒将棋となる高校将棋竜王戦。長考派の銭本さんにとって、あまり得意ではない大会だった。昨年は神奈川県予選で敗退。「納得いくまで考えることができないので、早く攻めきることを心がけた」と今大会を振り返る。3年間、銭本さんの成長を見守った将棋部顧問の宮田潔教諭は「無意識のようだか、大会によって戦い方を変えるようになった。勝ち方の幅が広がった」と評価する。
銭本さんは日ごろから高校生の大会だけでなく、一般の大会にも積極的に出場。また、中学時代から通う蒲田(東京都大田区)の将棋道場でも、強豪相手に実践を積んで勝負勘を養ってきた。「様々な対局で揉まれてきた経験が、今大会で生きた」と宮田教諭。3歳上の兄との対局は、教わる気持ちで臨むとも。「身近に指せる人がいたのは大きい」と感謝の念がにじむ。常に強い対局相手を求め、さらなる高みを目指す。
大学に進学する銭本さんが次に狙うのは「大学生でしかとれない大学選手権のタイトル」。先を読み戦略を練る将棋の楽しさに魅せられている限り、研鑽の日々は続く。
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