神奈川県立金沢総合高校(金沢区富岡東)の吹奏楽部は2年前の戦後70年の節目に「横浜・富岡空襲の記憶から未来へ」と題した楽曲を完成させた。これまで地元で発表する機会がなかったが11月23日(祝)、富岡並木地区センターで初めて演奏される。
太平洋戦争末期の1945年6月10日、周辺の軍需施設が標的となり富岡地区は空襲を受けた。今の京急富岡駅周辺にも爆弾が落ち、多くの人が命を落としたという。
この事実を多くの人に知ってもらうと、金沢総合高校吹奏楽部は、戦後70年の2015年、富岡空襲をテーマにした曲を制作した。顧問の山崎栄一教諭と当時の部員は作曲にあたり、当時のことを知る慶珊寺(けいさんじ)(富岡東)の佐伯隆定前住職に話を聞くなどし、イメージを膨らませた。山崎教諭は「活字で見るのとは違い、実際に体験された方の話は大変重く、心に伝わってくるものがあった」と話す。その後、生徒の中に浮かんだメロディや印象を取り入れ、修正を重ねて、曲を完成させた。
イメージのせ演奏を
23日の演奏会に向け、同吹奏楽部は11月1日に練習をスタートさせた。この曲を初めて演奏する部員に向け、山崎教諭は構成やメロディを佐伯前住職の話を交えながら説明。若い女性の遺体を母親が慶珊寺に引き取りにきた話をすると、「今、話しても涙が出てくる」と声をつまらせた。1場面ごとに解説と演奏を繰り返し曲の全体像を示し、「ただ事実を伝えるのではなく、音という響きにイメージをのせて伝えて」と指導した。部長の平澤初衣(うい)さん(2年)は「曲から感じ取れることを一人一人表現して”届けられる演奏”をしたい」と話した。
空襲の記憶 次世代へ
地元での演奏会は11月23日(祝)午前10時から11時15分まで、富岡並木地区センター講堂で(富岡東4の13の2)。富岡空襲の曲以外に2曲、演奏する。また富岡東部町内会の元会長・岡本茂男さんの講演なども行われる。参加無料。
主催する富岡第二地区連合町内会と同地区社会福祉協議会の大胡隆文会長は「今の平和な暮らしがあるのは、戦争の犠牲になった多くの命があるからこそ。富岡空襲の曲を聞き、この記憶を次世代に引き継いでいければ」と話した。
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