今年は「東京2020オリンピック・パラリンピック」(東京2020)を7月に控える五輪イヤー。横浜市も数種目の会場となる中、金沢区から出場を目指す選手を紹介する。
金沢区在住の小曽根亮さん(36)は普段、葉山の町役場で働きながらやり投げでの出場を目指している。
小曽根さんは大学生時代に医療事故で骨髄を損傷し、腹部から下が動かせない両下肢体幹機能障害になった。リハビリに励むなかでスポーツにも親しむようになり、投てき種目に出会った。
練習を重ねるとすぐに頭角を現し、2010年にはアジアパラ、13年には世界選手権に出場。円盤投げ、砲丸投げ、やり投げの3種目で日本記録保持者となった。15年からはやり投げに専念。18年7月から強化指定選手に選ばれ、国際大会に出場してきた。
競技では、腰から下を固定し、バーで体を支えて腕力でやりを投げる。「自分が一番力を発揮できる投げ方を完成させる必要がある」と話す。また、投げる時の腕のスピード向上や、可動域の拡大などの課題も。「冬の間に筋トレと投げ込みで体をしっかり作り、フォームも完成させて、シーズンに臨みたい」
東京大会の出場に、必須となるのが24mより高い記録を出すこと。小曽根さんの自己ベストは昨年にインドネシアで開かれたアジアパラ競技大会で叩き出した23m73cm。その差はわずか28cmだ。
選考対象となる大会が6月までに3つ予定されており、そこで条件を越えることができれば代表内定に大きく近づく。また、数センチ単位で上位選手たちが詰まっているので、一気に世界ランクが上がる可能性もある。
現在は、新横浜にある障害者スポーツ文化センター「横浜ラポール」で週2回、練習に励む。金沢区で小学校から付き合いのある友人が同行し、車いすの固定や、やりの回収をサポートする。
自身が出場した大会の模様がメディアに取り上げられたり、パラスポーツの魅力を伝えるイベントに登壇するなど、注目度が上がっていることを実感している。「自分の実力を出し切り、なんとしても東京大会に出たい。支えてくれた人たちを喜ばせたい」。力強い声で、そう誓った。
東京パラリンピックの馬術で出場濃厚になっているのが、金沢区富岡東在住の稲葉将さん(24/静岡乗馬クラブ)だ。昨年10月に行われた大会で個人総合優勝。次は1月末にオランダで開催される大会に標準をあわせる。12月には現地に行き、騎乗する馬と顔合わせ。「(試合は)馴染みのない馬となので、どうなるのか分からないが、メダル争いができたら」と控えめに話す。
日本のパラ馬術出場代表枠は4人。稲葉さんは現在日本ランキング1位で、最も出場に近い選手だ。国内選考対象試合は3月ごろに行われる1大会を残すのみで、4月までの成績で最終決定がなされるという。稲葉さんはすでにパラ五輪での目標を「個人戦で上位8人に残り、最終日の自由演技を戦う」と設定。人馬一体となった演技を目指し、日々練習に励む。
また、パラスポーツメッセンジャーとしても精力的に活動する。昨年は金沢公会堂や高舟台小学校といった地元のほか、JR東日本でも講演。競技の魅力などを自身の経験を交えて話している。「次はこうしようと目標をそのつど決めてきたからこそ、ここまでこれた。目標を定めて着実に進んでいくことの大切さを伝えたい」と稲葉さん。高校生の時、「パラ五輪に出場する」と定めた目標はもう目前だ。たゆまぬ努力で目指す道を進む。
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