備え付けのシェルフを紹介する飯塚さん（座間市の物件で）
金沢区富岡西に、飼い主がおらず保護団体に引き取られた保護猫と暮らすことができる賃貸併用住宅が誕生した。神奈川区の不動産業者、フロンティアハウスが手がけており、生活環境の変化を見越して飼育に踏み切れない単身者や終生飼育が難しい高齢者などが、入居中のみ「預かりボランティア」として一時保護に協力できる仕組みを構築した。手放された保護猫の居場所づくりに一役買うことで、保護団体の活動支援にもつなげる。
フロンティアハウスが販売するこの「ねこネクト」は、自宅の一部に単身者向けの貸室を設けた戸建てタイプの賃貸併用住宅。入居者は、保護猫を一時預かりという形で飼うことができる。富岡西の物件は座間市の物件に続き２件目。
商品展開にあたり、同社は保護猫の譲渡活動を行うＮＰＯ法人東京キャットガーディアンと連携している。入居者は面談・審査を経て、同法人が世話をしている保護猫を迎え入れて共同生活を送る。同法人の山本葉子代表は「引き取り手を見つけるのに時間がかかる高齢猫の一時預かりの場になれば」と期待し、入居者が希望すれば猫の譲渡にも応じるという。
専用設備が充実
富岡西のねこネクトには、猫との暮らしを想定したさまざまなアイデア設備が光る。フローリングは足を滑らせないようざらつきのある素材を採用。リビングと洗面所を仕切る扉には猫が行き来できる専用ドアを設け、備え付けの収納シェルフはキャットタワーとしても利用可能だ。
商品を企画した飯塚謙太さんは、自身も実家で保護猫を飼っていた経験を持つ。就職を機に一人暮らしを始める時にも保護猫を引き取ろうと考えたというが、「そもそもペット可の物件は数が少ないだけでなく、築年数が古かったり立地が不便だったりして入居しづらかった。それなら、初めから保護猫と暮らせる環境が整った家を造ろうと考えました」と話す。
アイデアで差別化
賃貸市場では物件の設備や構造などをアピールする事業者が多い中、同社は「保護猫との共生」というコンセプトを打ち出し、差別化を図る。飼育経験がない人や転勤などで飼い続けられるか不安な人でも気軽に保護猫を迎え入れられるため、「１人でも多くの人に猫との暮らしを楽しんでもらえたら」と飯塚さん。保護猫解消の一翼を担いながら、安定した入居率を求める物件所有者と借主の希望にも応える「三方よし」の住まいを目指している。
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