戦争や災害、文化、伝統――後世に残すべき「時代の記憶」を映像で記録する「タイムカプセルプロジェクト」に、金沢区富岡西在住で映画監督の清水健斗さんが取り組んでいる。
第二弾の「岩手『被災地からの手紙』」では、東日本大震災から10年がたった陸前高田市の一次産業従事者・伝承施設・市民活動を、地元の協力を得て取材。現在、6本の短編ドキュメンタリーをWebページで公開している。新型コロナウイルスの影響で遅れた取材・撮影は今年6月に行う予定。その後、未公開部分と合わせ1本にまとめて長編ドキュメンタリーにする考えだ。
2011年3月11日、清水さんは翌12日に仕事で訪れる予定だった岩手の人と電話で話をしていた。地震があったのは電話を切った数分後。「他人事とは思えない」。災害ボランティアとして被災地を巡り、様々な人と出会った。
映像の力で風化を止めたい――そんな思いで製作したのが映画「漂流ポスト」(2018)。この映画はニース国際映画祭外国語短編映画最優秀賞を受賞するなど国内外で評価を得た。一方で「同時に人々が震災のことを忘れてきている現状も感じた」と話す。
19年に同プロジェクトを立ち上げ。第一弾として広島の被ばく体験者の話を、180度左右上下を3Dで映し出せるVRで撮影した。「被ばく体験者は高齢化しており、残すなら今しかないと思った」。VRを採用したことで、空気感や息づかいなど臨場感あふれる映像を実現した。
第二弾として3・11を取り上げたのは、漂流ポストで描けなかった、被災者の「リアリティ」を表現したかったから。「震災10年というけれど、被災地に区切りはない。ドキュメンタリーだからこそ、伝えられることがある」と話す。
何も知らなければ、同じことを繰り返す。だから記録は重要。「今後は地域の祭りや伝統工芸なども記録し、記憶が途絶えないようにしたい」
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