西区の市立宮谷小学校(中川智子校長)に、あるアマチュア音楽家が愛用した2台のアコーディオンが寄贈され、2月21日に同校で記念演奏会が行われた。
このアコーディオンは、平成19年に82歳で亡くなった岩田稔さん(金沢区)が愛用していたもので、イタリアの名門メーカーで半世紀以上前に作られた貴重なもの。
岩田さんは小学生のころからアコーディオンを習い始め、第2次世界大戦で出兵するまで演奏を続けていた。終戦後はシベリアに捕虜として抑留されたが、収容所でソ連兵から音楽の才能を認められ、仲間と楽団を作り、演奏で捕虜たちの心を癒した。「まさに一芸が身を助けた」と生前の岩田さんはよく親族に話していたという。音楽のおかげで岩田さんは労役をはずれ、昭和24年にシベリアから無事帰還を果たした。
帰国後も趣味で演奏を続け、亡くなる直前まで楽器を大切にしていたという岩田さん。長女の前田和美さんは「父の愛したアコーディオンを誰も弾かずに置いておくのはもったいない」と、岩田さんの義弟で鎌谷町第2自治会会長の山内洋正さんに相談したところ、同町内会内の宮谷小学校が「ぜひ引き取らせて欲しい」という話になった。
前田さんは「父がアコーディオンを始めたのも小学生のとき。これも何かの縁。きっと父も喜んでいると思います。子どもたちにはアコーディオンの音色の素晴らしさを感じてもらえたら」と今回の寄贈を喜んだ。
記念演奏会には、伊勢原市在住で盲目のアコーディオン奏者、熊坂栄弥さんが招かれ、児童たちの前で寄贈されたアコーディオンを演奏。「ドラえもん」や「思い出のアルバム」などを披露し、児童たちも一緒に大きな声で歌って楽しんだ。
同校の中川校長は「今後も演奏会などを開きながら、児童たちと一緒にこの貴重なアコーディオンを大切にしていきたい」と話していた。
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