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「神奈川沖浪裏」は本牧?! 新千円札の裏絵、北斎の傑作に

文化

掲載号:2019年5月1日号

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新千円札の裏絵に採用される『神奈川沖浪裏』。左は相澤館長
新千円札の裏絵に採用される『神奈川沖浪裏』。左は相澤館長

 新千円札の裏絵に決まった葛飾北斎『富嶽三十六景・神奈川沖浪裏』。そのモチーフは千葉の木更津や富津、または金沢の海という説もあるが、その中でも有力視されているのが「本牧」説だ。

本牧の海は「神奈川沖」

 横浜市八聖殿郷土資料館の相澤竜次館長は、5つのポイントから本牧説を本命と位置付ける。

 その1点目が作品の名称にある「神奈川沖」だ。

 江戸幕府の公式文書・新編武蔵風土記稿によると、現在の幸ヶ谷公園=神奈川区=あたりから、本牧十二天あたりまでの内海を「神奈川湊」と称していた。そのため「神奈川沖」はその沖合と考えるのが妥当という。

 2点目が作品に描かれている「押送船」。これは漁船ではなく、鮮魚を日本橋まで運ぶための高速運搬船だった。本牧に残る安政6(1859)年の文書によると、本牧では35艘の押送船を所有しており、周辺では群を抜く数だったという。それがモチーフを裏付ける材料の1つとなっている。

自ら「本牧」と呼称

 3点目は「富士山」そして、4点目が「船はいつ、どこへ向かっているのか」という点。

 富士山については初代歌川広重の作品『富士三十六景・武蔵本牧のはな』が引き合いに出される。これは北斎の富嶽三十六景を意識して描かれたといわれており、まさに作品名には「本牧」という名称が使われている。4点目については当時、押送船は本牧を出港すると一度南下する航路をとっていたため富士山を右手に沖合に出る構図となる。また、翌朝に日本橋に届けるよう夕方に出港するとあって、夕焼け空も状況に合致している。

 最後の5点目は「北斎が描いた本牧」。これが最大の根拠とされる。北斎は50歳過ぎで『賀奈川沖本杢之図』を手がけているが(神奈川沖浪裏は70歳過ぎの作品)、これは大浪を描いたごく初期の作品。北斎自らが本牧を「神奈川沖」と呼んでいることが、この説に説得力を持たせている。

地域の話題作りに

 本牧説について相澤さんは「他の候補地よりも根拠の数が多い」と指摘する。一方で「色々な説があっていい。それぞれが地域の話題になって、地域の活性化になれば」と話している。

 新札は2024年度中に発行される予定だ。
 

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