台風シーズンとなる8、9月を控え、豪雨や地震などの自然災害と新型コロナウイルス感染症が重なる「複合災害」への対策は急務だ。横浜市は、感染防止備蓄品を市内の全地域防災拠点に整備し避難所の感染症対策を強化する。また、避難所の3密を回避するため、自宅や友人宅などへの「分散避難」を呼びかけている。
台風や大地震の際の避難場所は3密になりやすく、クラスターの発生が懸念されている。こうした状況を受け市は6月、3密を避ける地域防災拠点の開設・運営のポイントを作成した。ポイントの中では、避難所・避難場所をできる限り増やすことなどをあげている。さらに、安全を確保できる場合には、自宅の上階などへの在宅避難や親戚、友人宅などへの分散避難を呼びかける。市の担当者は「3密を避けるには分散避難は有効な手段。行政が開設する避難場所に行くことだけが避難行動ではない。日頃から避難行動について検討してほしい」と話す。
感染防止備蓄品を整備
市は避難所の感染症対策として、7日に閉会した第2回市会定例会の補正予算で「避難所等における災害対策備蓄事業」に約1億1千万円を計上。アルコール消毒液やマスク、使い捨て手袋、段ボール間仕切り・ベッドなどを市内の全地域防災拠点459カ所と地区センターなどの補充的避難所202カ所に早急に整備し避難所の感染症対策を進める方針だ。
校庭、公園使用の工夫も
「現状では3密を避けるのは難しい。工夫が必要」。こう話すのは、磯子区地域防災拠点運営委員会連絡協議会の三上勇夫会長だ。磯子区の洋光台第一小学校での防災訓練には、毎回約500人が参加するといい、地震などが発生した場合は避難所が3密になる可能性が高い。「体育館以外の教室や校庭、近隣の公園なども活用し、車中やテントなどで3密回避を検討すべきでは」と話す。
防災まちづくりが専門の横浜市立大学の石川永子准教授は「クラスターの発生を防ぐには、ゾーニングや動線の確保、人の役割などをしっかりすることが大事。行政と地域住民、コロナ対策本部などの関係者との連携も重要」と話した。
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