今年は寅年-。「野毛山動物園にトラを見に行こう」と思っている人も多いのでは?しかし、同園に確認すると「今年の干支なので、最近よくお問合せを頂戴するのですが…。現在野毛山動物園にトラはいません」とのこと。1年ほど前まではいたような気がするが、一体何処へ?あのトラの「今」を取材した。
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一昨年まで同園にいたトラは「ミンピ」(メス・7歳)。2014年8月4日、横浜(ズーラシア)で初めて生まれたスマトラトラだ。現存するトラの中では最も小型の亜種で毛色が濃く、あごの毛が長いのが特徴。ズーラシアでは母親トラや双子の姉妹「ダマイ」と共に親子で仲むつまじく過ごす姿が見られた。
17年6月に単身で野毛山へ移動。同園に聞くと、在園中は誕生会を開いたり、ファンからプレゼントやメッセージカードが届くなど、その人気ぶりがうかがえるエピソードが多数あるという。20年11月24日に上野動物園に移動するまでの約3年半の間、ミンピは野毛山動物園のアイドルだった。
絶滅の危機に
スマトラトラはインドネシアのスマトラ島のみに生息しており、野生下には約300〜400頭ほどしか生息していないと言われる「絶滅危惧種」。現在国内7カ所の動物園では、18頭が飼育されており(2021年12月時点)、相互協力しながら動物園間を繁殖可能なスマトラトラを移動させることでペアづくりを進め、繁殖を促す取組を行っている。上野動物園にはパートナーとなるオスの「ブラン」(8歳)のほか、2匹のメスがいるが、共に高齢のため、若いミンピが同園に受け入れられることになった。
通常スマトラトラは単独で生活し、部屋も別々。メスがオスを受け入れるのは発情した時のみのため、その兆候を見逃さないように飼育係が日々注意深く観察しながら、オリ越しに合わせる「お見合い」や「同居」を行っているという。
野生の生息数減少の一因として、日用品や食品などに使われるパーム油の原料になる木を育てるため森が開発され、トラの住み家が減少していることがあげられる。上野動物園では「寅年をきっかけに、多くの方々に絶滅の危機にさらされているスマトラトラの生息状況を伝え、環境問題について考えてもらえたら」と考え、パネル展示を行っている。
横浜のトラに「夢」託し
年明け野毛山動物園を訪れてみると、空っぽになった展示場の前で「トラがいないよ〜」と、寂しそうに叫ぶ子どもたちの声が…。展示場はそのままだが、同園によると「他のトラ、もしくはミンピが戻ってくるのか、現時点では未定」だという。なお金沢動物園は草食動物が中心のため、現在市内でトラが見られるのはズーラシア(4頭)のみとなっている。
ちなみに、ミンピの名前はインドネシア語で「夢」を、双子の姉妹の「ダマイ」(昨年11月に名古屋市から仙台市の動物園に移動)は「平和」を意味しているとのこと。横浜生まれのトラにあやかり「今年も平和で夢のある1年になりますように」と願う。
ミンピがいる上野動物園は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、1月11日から休園中。再開日や来園予約などは同園HP(https://www.tokyo-zoo.net/zoo/ueno/)で確認を。
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