神奈川県内の中堅・中小企業が開発した優れた技術・製品に贈られる「第32回神奈川工業技術開発大賞」が10月26日に発表され、在宅看護支援などの各種ネットワークシステム開発・販売を行うCQ―Sネット(齋藤光正社長)=鳥越=が開発した「照明器具にレーダーを内蔵した見守りシステム」が大賞に選ばれた。
1984年の制度創設以来、県と神奈川新聞社が共催で行っている同表彰。今年度は20件のうち2件が大賞に選ばれ、その一つがCQ―Sネットが開発した高齢者見守りシステムだ。
レーダーで感知
このシステムは、発光ダイオード(LED)の照明器具に内蔵されたレーダーによって対象者に触れることなく動きを検出し、パソコンなどを通じて異常を通知する機能をもつ。天井から部屋全体へ照射された電波が対象者の皮膚に反応。距離を測って就寝、起床、転倒などを判別できるという仕組みだ。衣服などを透過するため、脈拍や呼吸状態まで計測可能。齋藤社長は「風呂やトイレにも設置できて、日頃から体調を管理できる」と説明する。
特許を取得
開発を始めたのは2011年。看護が専門の大学教授から「日々のバイタルをチェックできるシステムがほしい」と相談されたことがきっかけだった。対象者に触れることもカメラで撮影することもない、プライバシーが配慮されたこのシステムは、複数人を検出することができるため、商業施設での混雑状況の把握など様々な用途に応用可能。米国・マサチューセッツ工科大学にも先行した技術で、日本や米国など6カ国で特許を取得した。
「孤」を照らす
国内の大手電気機器メーカーで30年にわたりテレビの研究開発に携わってきた齋藤社長。09年4月、鳥越の自宅敷地内に同社を設立し、当時の上司など5人でシステム開発を行う。齋藤社長は「一人暮らしは個室が『孤室』に、一戸建ては『孤建て』になりつつある。照明は明るく照らすだけでなく、見守ることもできるんだと伝えたい」と話す。
見守りシステムは現在、県や国の実証実験が進められており、年内に実用化される見通しだという。
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