新型コロナウイルス感染症の打撃を受けて閉店を余儀なくされた台町の飲食店が、近隣で同業を営む店舗オーナーの後押しで「復活」した。外食業界は先の見通せない状況が続くが、「通ってくれたお客様のために」という従業員の思いが、再開の扉を開いた。
2015年にスペインバル店としてオープンし、看板メニューのパエリアなどが評判を呼んだが、コロナの影響を受けて4月に一時休業に追い込まれた。外出自粛が続く中で夜間営業という形態も影響し、運営元の判断でそのまま閉店。店長として勤務していた渡辺優人さん(26・白楽)と従業員の奥田典樹さん(29・同)にとっては寝耳に水の事態で、「常連客にあいさつさえできなかった」と悔やむ。
閉店後、系列店で働いていた2人は「楽しみに通ってくれていたお客様のために、もう一度店をやりたい」という思いが募ったという。そんな中、台町で飲食店「85 バー+キッチン」を営む三川弥子さんから再開に向けた支援の申し出があった。閉店前の同店を知る三川さんは2人のために店舗再開を工面。7月、店は「台町バル」と名前を変えて復活を果たした。
店名には、「手ごろな価格で楽しめるバルの良さを伝えつつ、台町を盛り上げたいという思いを込めました」と渡辺さん。グルテンフリーにこだわってパスタを使わないラザニアなどを考案したり、コクを出すための調味料にみそを使ったりと、再開を機にメニューも一新。渡辺さんのアイデアを、ホテルのレストランで修業を積んだ奥田さんが形にする二人三脚の挑戦が続いている。
「お客様に『あそこに行けばおいしいものが食べられる、わくわくすることが起こるよね』と思ってもらえたらうれしい」と口を揃える渡辺さんと奥田さん。前身の店舗で勤務していたころの高ぶる気持ちを胸に、地域に根差した「人情バル」を目指す。
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