貧困やジェンダー格差、気候変動などの国際的な社会課題についてスピーチを通して自身の考えを発表する「よこはま子ども国際平和スピーチコンテスト」で、神橋小学校6年の谷村陽奈(ひな)さん=港北区在住=が審査委員長賞を受賞した。4年間のアメリカ生活で感じた人種差別などの「異文化の壁」について、多様性を受け入れながら相手を理解することの大切さを熱弁。谷村さんは「スピーチは初めてだったけれど、審査員に評価してもらえてうれしい」と声を弾ませた。
2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」に基づき、国際平和のために児童生徒が取り組みたいことをスピーチで表現するもの。昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で中止となり、2年ぶりの開催となった今年はビデオ審査で実施。5万人の応募者から各区の小中学生1人ずつが区代表として本選に参加し、市長、教育長、審査委員長の各賞に4人ずつが選ばれた。
「多様性」肌で感じ
谷村さんは、5歳から8歳の頃に家族で移り住んだアメリカでの経験を基に、「異文化の壁を乗り越えるためには」というテーマでスピーチ。「多様性を認めることで差別はなくなり、世の中はより良くなる」と力強く主張した。
アメリカでは、米を手で食べるインド人の友人に対して同級生が心無い言葉を掛ける光景を目にしたり、自身も言語の違いから一緒に遊ぶことを拒まれたりもした。「自分の文化が認められない、馬鹿にされることがとても悔しかった」。異文化への無理解や不寛容が、いじめ、差別の根底にあると感じた。
原稿用紙3枚半にまとめたスピーチ内容は、教職員や母親のアドバイスを受けながら何度も推敲を重ね、強調したい部分にはマーカーで色を付けて臨んだ。手元の原稿に目を落とすのも忘れるほどほど舞い上がっていたが、正面を見つめて3分間のスピーチを堂々と乗り切ってみせた。
様々な国籍や宗教、民族的ルーツを持つ人たちと接する中で、自然と多様性を受け入れられるようになったという谷村さん。「(アメリカでは)恥ずかしがりやでいつも教室の隅っこで存在感を消していたけれど、だんだん日本人ということが恥ずかしくなくなっていった」と語る。自らの考えを素直に伝える欧米ならではのコミュニケーションにも刺激を受け、帰国後は「授業中も積極的に自分の意見を言えるようになったと思う」と笑顔を見せる。
「自分とは違う考えを理解し、それを受け入れる広い心を持つことが大切です――」。多様な文化の交差を肌で感じてきたからこそ、そうスピーチで語りかけた谷村さん。今はグローバル化や少数民族の減少で危惧される「言語の消滅」に関心を寄せ、将来はこれら地球規模の課題(グローバルイシュー)について考える学び舎をアメリカで開きたいと夢を描く。
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