横浜市は、2026年度をめどに鶴見区に児童相談所を新設する。国の設置基準では1カ所あたりの管轄人口を50万人以下としているが、横浜市は人口370万人に対して4カ所と施設数が不足。児相内の一時保護所は慢性的な定員超過が課題となっていた。
児相は虐待や障害、非行などの相談に対応し、何らかの理由で親元にいられない子どもを一時保護している。入所期間は最大2カ月で、その間に保護者や関係機関と調整しながら家庭に戻れる環境を整えている。
児相新設の背景には、虐待件数の増加や入所期間の長期化による一時保護所の慢性的な定員超過という理由もある。昨年度の1日あたりの平均入所人数は、定員161人に対して173・8人、今年度も12月までの速報値で176・6人(8月から定員166人)だった。最大217人が入所する日もあったという。
定員超過する場合は市内に4カ所ある児相間で受け入れを調整し、学習室や休養室など居室以外の空間に簡易ベッドを入れるなどして対応している。中央児相=南区=の深見和夫副所長は「命にかかわることなので、必要があれば必ず受け入れるのが一時保護所。養護施設や里親の数も限られるため、定員超過の解消は難しい」と話す。
鶴見区生麦に新設される児相の一時保護所は、中央児相が管轄している神奈川区と鶴見区が対象となり、定員は20人ほどを想定。来年度から基本設計に着手し、2026年度に開所する予定だ。開所までの期間も対象区の事案に対応できるよう、夏までにサテライト拠点を設置する準備も進む。中央児相から約10人の児童福祉司が駐在し、初期対応にあたる。
市はこれまでも児相の再整備を進めてきた。21年度は西部児相=保土ケ谷区=を隣接棟に移転し、一時保護所の定員を5人増加。24年度には、現在磯子区にある南部児相を港南区に移転新設する計画もある。市の担当者は「着実に整備を進め、全ての子どもが一人の人間として尊重される横浜を目指したい」と話している。
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