神奈川区役所と横浜市立大学はこのほど、保育・教育施設向け防災教材「てくてくまっち」を制作した。同教材は園児と職員が日常活動の延長で、防災・減災の視点からまちの資源とその活用方法をカードを通して遊びながら学ぶことができる。現在、区内約130施設に向け、配布を始めている。
防災教材「てくてくまっち」は、保育・教育施設の園児や職員に「てくてくとまちを歩きながら学んでほしい」と名付けられた。同教材には、川・水路や防災倉庫、公園などまちの資源が描かれた20種類のカード2組ずつと説明書、自由記載のカードなどが入っている。それぞれのまちの資源を理解し、その資源が持つまちとの人的なつながりや防災・減災の視点、持続可能な開発目標(SDGs)との関わりなどが学べるもの。
保育・教育施設の園児と職員が、室内で同じカードを探すゲームをしたり、散歩にでかけた際にカードを持ち出し同じものを地域で見つけるなど活用方法はさまざま。年齢に応じて多様な遊びを何度も繰り返し、子どもがまちの資源を身近に感じることで、減災へつながる自助意識を養う狙いがある。
3年間の集大成
神奈川区では災害時に保育・教育施設などが安全に避難を進めるため、保育所や幼稚園の園長先生らが検討し「保育・教育施設向け+αの防災ガイド」を2019年に作成。さらに防災ガイドの内容を地域で実践的に取り組むために、専門的な知見が必要となり、横浜市立大学の教員地域貢献活動支援事業を活用した「保育・教育施設防災アドバイザー派遣事業」がスタートした。
アドバイザーは、横浜市立大学国際教養学部都市学系の三輪律江教授と横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院の稲垣景子准教授が担当。三輪教授のゼミ生なども参加しながら、19年度から21年度にかけて保育・教育施設の関係者を対象に防災対策の共助の部分について、地域連携の在り方を考える全7回の連続講座を実施し、約250人参加したほか、区内の保育園でワークショップなどを実践する伴走支援も行った。
そうした取り組みを受け、3年間の集大成として同教材の制作に挑戦することに。多くのまちの資源の中から、神奈川区内で生かせる20種類のカードを厳選。1年間かけて作りあげた。同教材の制作を担当した区こども家庭支援課松見保育園の坂田雪江保育士は「子どもたちの防災の学びが、保護者や職員の防災対策にもつながると思いますので保育・教育施設ではぜひ活用いただきたいです」と話した。
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