「今後は意思表示が大切になってきます」――聖マリアンナ医科大学病院の腎泌尿器外科教授の力石辰也氏は話した。
改正臓器移植法施行から1年、脳死者からの臓器提供の条件が緩和され、症例は急増。これを受けて県内5医療施設の医師ら有志が結成した「臓器提供・移植を考える神奈川の会」では一般市民向けの啓発活動を開始した。同会の代表を務めているのが力石氏だ。
1997年の臓器移植法施行から2010年の法改正前までの13年間で脳死者からの臓器提供は86例。一方、改正から今年7月までの1年間の症例は55例に上る。これまで本人の書面による意思表示と家族の承諾がなければ脳死下での提供はできなかった。改正後は家族の承諾で提供できるようになったことが症例増加の理由のひとつだ。
「医師は患者さんを脳死と判定するとそのご家族に、最期をどのように過ごすか確認をします。また臓器提供の意思を問うことがあります」と力石氏。「ただ、身内の不幸に加えて家族に臓器提供という大きな選択を迫るのは大きな負担」とも話す。
そんな家族の負担を減らせるのが本人の意思表示だ。現在、同会では公開講座を開いて意思表示の大切さを訴えている。
「提供するしないはどちらでもいいんです。家族と共に考えるきっかけになってほしいと思います」。
もし、自分や家族の中で移植が必要になったら、もし自分が脳死状態になったら――。他人事ではなく、我が身に起こることとして今、考えなければならない。
次回は実際に移植手術を受けた人に話を聞く。
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