市内大学では、「食」を通して災害に備える取り組みを進めている。
東京家政学院大学(相原町)の学生による災害時の備蓄食品を活用した料理法の展示が先週、八王子駅で行われた。
展示された研究に取り組んだのは、同学の食物学科、三澤朱実教授が指導するゼミナールの3年生。「災害時の食事を少しでも美味しく豊かに」という目的のもと、備蓄食品として用いられやすい乾燥食品や缶詰などを活用した料理法を研究したという。
調理例として挙げられたのは、避難所にある鍋でも個人で袋に入れて調理できる高野豆腐を用いた麻婆豆腐やご飯の炊き方など。三澤教授は「被災時にできることは限られるが、食を通して少しでも元気に、豊かに過ごす術になれば」と話す。
同展示では、普段から少し多めに食材や加工品を買っておき、使った分だけ買い足す「ローリングストック」も紹介。災害時には、日ごろの食品の備蓄が有効かつ、保存食の賞味期限切れによる食品ロスを減らすことができる点が説かれた。
三澤教授は「災害時はビタミン、ミネラル、カルシウムなどが不足しがちになり、栄養バランスがとりにくくなりがち。栄養士の『たまご』である学生たちには、どんな場面においても常に研究の視点を持って、地域の人たちに頼られる存在となってほしい」と期待を寄せている。
この取り組みは関東大震災から100年を迎えたことを受けて企画されたもので、協力したJR東日本八王子支社の担当者は「広く協力していくことは重要。学生の力を借りながら地域の人々に開けた活動を行うことで、防災知識を広めていければと思う」と話している。