市民らの手で日常に根ざした情報メディアを作ることで地域活性化や災害時に役立てようと、市内で民間によるコミュニティFM設立の動きがある。
* * *
活動の中心となっているのは、市内旭町でバーを営む市川正己さん(57)。コミュニティラジオ「FMあつぎ開局準備室」を立ち上げ、その室長として「『オールあつぎ』でFMを」と、およそ1年前から準備を進めている。
きっかけは「他愛のない会話」だった。市川さんが、ラジオ局に勤務していた経験のある知人との話の中で、厚木には地元のコミュニティFMがないという話になり「じゃあ我々がやろうか」とひと言。
折りしもテレビの地デジ化により空いた周波数枠をコミュニティFMに割り当てるという議論が一部で浮上。「この機会を逃すと次のチャンスは厳しい」と、来年秋の開局を目標に活動をスタートした。
「東日本大震災では地元のFMラジオが物資等の情報を発信していた。コミュニティFMがあれば、災害時に行政から正確な情報を送ることができる」と市川さん。
現在の予定では、市内にスタジオや送信所を置き、有事の際には地域防災情報メディアとしての活用を想定している。それ以外の通常放送では、ラジオCMによる広告収入を想定。日常生活に密着した情報メディアをめざす。
現在は商工会議所など市内の経済団体を中心に事業説明を行っており、出資協力者を募っている。まずは足元を固めたうえで、準備が整い次第電波調査を行い、その後総務省への申請を行う予定だ。
マスコットは「コアらじ」
各団体への事業説明を行う中で、マスコットキャラクターも作成。赤いコアラを模したキャラクターで、名前は「コアらじ」。神奈川の県央(コア)をラジオで熱く盛り上げたいという思いが込められている。
また、正式開局前には限られた範囲のみで聴取できる「ミニFM」として、鮎まつりなどでの試験放送実施も想定している。
市川さん自身、ラジオ局運営とはこれまで無縁だった。長年のサラリーマン生活を経て、5年前からバーを経営。自身の仕事と並行して準備を進めてきた。ラジオ開局に携わった経験者の意見を聞きながら、手探りで進んできた1年だ。
「皆さんの力をお借りして『オールあつぎ』で立ち上げたい。ご協力をお願いします」と市川さん。
バーの片隅で燃え上がる情熱が、ラジオの電波のようにあつぎの街に広がっていくか。
|
|
|
|
|
|
|
<PR>
厚木・愛川・清川版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|