マンション建設が熱気を帯びる一方で、空き店舗増加が目立つ本厚木駅周辺。厚木市では商業にぎわい課が空き店舗対策事業を2007年から進めている。昨年度末までの5年間の経過を同課に聞いた。
同課が行う「中心市街地商業誘致事業(空き店舗出店支援事業)」。本厚木駅周辺の100haを対象に、新規開店した事業者へ最高120万円の家賃補助(開店後最大1年間)や、改装費(最大50万円)を補助金として支給する。
昨年度末までの約5年間で同制度を活用した店舗は105件。そのうち23件は事業者の体調不良や経営悪化などで閉店したが、それ以外の店舗は現在も営業を続けている。
利用店舗を業種別にみると、飲食業が39%。美容室などのサービス業が38%。以下、小売業などが続く。
この事業は厚木パルコ(当時)の撤退や、近隣市の大型商業施設などを背景に、市街地ににぎわいを取り戻そうと始まったもの。同課は市内不動産業者から空き店舗の情報提供を受けており、制度の対象となるのはこれに該当する物件となる。
同課によれば、事業開始前100件だった中心市街地の空き店舗は、東日本大震災直後の2011年4月には193件に増加。ここをピークに、今年8月20日の時点では109件にまで減少した。とは言え、制度開始時点と比べると微増している。劇的な効果があるとは言い難い現状だ。
行政側の現状把握に課題も
中心市街地の空き店舗問題
パルコ撤退などを機に厚木市が2007年に始めた空き店舗対策の補助金事業。
事業を行う市商業にぎわい課では、制度利用の申請に対し、事業者との面談の上で交付の可否を決めている。中には交付を認めなかった例もある。
同課では制度を活用した店舗が補助金支給期間以降も営業しているか確認している。しかし、それはあくまでも店の外から営業しているかどうかを確認するのみ。事業主からのヒアリング等は行っていない。同課は「中小企業診断士を事業主に派遣する事業も行っており、補助金を申請した事業者には補助金期間以降も継続して営業していってほしい」と話すが、その割には現状を把握する姿勢があるとは言い難い。また、空き店舗対策の当事者である各商店会と行政が空き店舗について話し合うような機会も現状ではないという。
各商店会を束ねる市商店会連合会(商連)によれば、来年度に独自の空き店舗対策として市内の名産品を活用した事業を検討しているという。
中心市街地ではマンション建設が進む一方、(仮称)あつぎ元気館の工事も始まった。変り行く街の風景に商店主が対応できるのか、行政と商業者との対話の活性化が鍵を握りそうだ。
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