荻野地区が3月26日、神奈川県から「厚木市荻野里地里山保全等地域」に選ばれた。これで、県内では19地区目、市内では、2012年の七沢に次いで2地区目。
この選定制度は、県が08年から「神奈川県里地里山の保全、再生及び活用の促進に関する条例」に基づいて実施しているもの。
土地所有者、行政、地域住民が連携し、里地里山を保全することで、豊かな自然環境を守り、次世代への継承を図ることが目的。里地里山とは、集落と農地、水路、ため池、雑木林などが一体となった地域のこと。
広大な荻野の自然を保全
選出された荻野地区は、上荻野、中荻野、下荻野、鳶尾、みはる野、まつかげ台からなる1727・6ha。
荻野の特長は、市内の北西部、丹沢山塊の麓に広がる標高100m前後の台地にあり地域の中央には南北方向に荻野川が流れ、その流域には入り組んだ谷戸を残すなどの雄大な景観を誇っている。
しかし、近年は急速に市街地化がすすみ、農家の減少や高齢化なども影響し、適切な管理が行き届かず、豊かな自然環境が失われつつある。2002年には、地域住民が中心となって「荻野三つ沢の里山を守る会」(東條隆夫会長・69歳/みはる野在住)が発足。会員は現在15人。樹木の間引きや、下草刈り、老廃休耕田の再生などを主な活動の柱とし、すでに保全活動に取り組んでいた。
現在は、里山の豊かな自然環境を未来へ引き継ごうとする厚木市の「里地里山マルチライブプラン事業」の委託を受け、稲作作業や生物育成体験などの機会を市民に提供している。上荻野字三沢6002他の4381平方メートル(田が2471平方メートル、山林1910平方メートル)が活動範囲になっている。
これまでは同会と市、公募の市民ボランティアが連携・協働する取り組みを行ってきた。市民ボランティアの参加は月1回、田植え、草刈り、収穫などを行う。荻野から飯山に抜ける新道開通で交通量の増加に伴い、地主と環境面に配慮した整備を進めている。
里地里山に選定されたことで東條会長は「昔の良いところを残していくことができたらと思う。近年はホタルも飛び交い始めた。一人でも多くの子どもたちに田植えの体験を通し、自然と触れ合える機会を作りたいですね」と展望を語る。
今後は、同会が土地所有者らと活動協定を結び、県の認定が下りれば市を通じて活動費が補助される。活動費は、県が現地調査をした後に決定される。
管轄する市環境政策課によると、協定は4月中旬までの締結をめざし、5月の田植えが始まる時期までには支援を始めていく見通しだという。期間は5年間。
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