10周年を迎える「先生のための寺子屋講座」が5月16日、アミューあつぎで始まった。主催するのは市教育委員会教育研究所。これまで延べ3500人が参加し、同所の代名詞的存在にまで成長した同講座を取材した。
”もっと教育を学びたい”。そんな先生の想いに応えるために寺子屋は始まった。対象は市内小・中学校に勤務し、子どもたちと関わる全ての教職員。非常勤の教員に加えて、教諭を目指す市民に向けても、門戸を開く。完全希望制で年間約10の講座を土曜日に実施し、人気のものでは100人を超える申込みがあるという。前年の12月ごろに翌年の受講者を募っており、今年度は9回の講座を予定。約500人の参加申込みがあった。
ニーズを重視実践に直結
最初の年、2006年度は6講座、150人の受講者でスタートした。講師はバラエティーに富み、現役を引退した校長に加え、同所職員が実際に講義を受けて呼びたいと思った講師へ依頼している。講座のモットーは「すぐに活かせる、使えるもの」。「ニーズに合ったものをしないと意味がない」という考えのもと、終了後に行うアンケートによってニーズを探り、時期や流行に合わせたものを実施する。過去には合唱コンクールのための合唱指導の講座を行ったこともあり、「やらなければならない通常の研修の”スキマ”を埋めるような講座をやりたかった」と山田淳司所長は話す。一方で、開講当初は不安もあったとも振り返る。「土曜日を使うことが負担になってしまわないかが心配でした」。けれども、そんな不安をよそに受講者は毎年増加。口コミで評判が広がり、今では市内で知らない教諭はいないまで成長した。
視野広がる講座内容
16日に行われた今年度の第1回講座には約40人が参加。「子ども、保護者とつながる人間関係づくりの極意」をテーマに合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツの心理カウンセラー、井上郁夫さんを招き行われた。生徒に対する臨み方から、やる気を引き出すアプローチ、効果的なコミュニケーション方法を解説。現場での経験をもとにした実践的な内容に参加者たちが熱心にメモをとる姿が見受けられた。
教員歴30年になる戸室小の山本智子教諭は「別の立場の方からの話で、視野が広がりました」と話した。今年で9年目となる毛利台小の直島博和教諭は「これまでに数回参加したが、悩みの解決になることも多い。他の先生の考えも聞ける良い機会です」とコメント。また、今年新採用となった依知小学校の清水久代教諭は「子どもの行動の原因などがわかったので、明日から実践してみようと思います」と笑顔で語った。
多くの教員が参加し、その助けになってきた寺子屋講座。自主参加というだけあって、講師からは教員の意欲の高さも評判だという。今回、講師を引き受けた井上さんは「非常に皆さん積極的で良い講座になったと思います。機会があれば何度でも伺います」とにこやか。山田所長は「人材育成が求められているいま、今後は現場の先生の育成の拠点になれればと思います。内容の充実が学びたい先生のサポートになり、それが子どもたちのためになれば良いですね」とじっくりと考えながら話した。
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