同じ指揮者の下、青春を過ごした仲間同士、出身校や世代の垣根を超え再び演奏を――。厚木西高、厚木高、有馬高吹奏楽部の卒業生による演奏会が、5月に行われる。
2月下旬、平塚市内のホールに演奏が響く中、中山鉄也さん(65)は振っていた指揮棒を止めた。「打楽器、もう一度」。低く鋭い声に、サックスパートの川口颯天さん(27)は高校の音楽室で味わった緊張感を思い出していた。同時に、先生や同期、先輩後輩と再び舞台に立てることに喜びが込み上げた。
県立高校で音楽科の教員を務めてきた中山さんは、各校の吹奏楽部を指導し、吹奏楽コンクール東関東大会出場、管楽合奏コンテスト全国大会グランプリなどに導いた。また吹奏楽の本場・米国の作曲家らの新作を日本初演。国内に新たなレパートリーを紹介した。
「中山先生の指導は厳しい面もあったが、高校3年間は部活の記憶しかないくらい濃い時間だった」と厚木高で部長を務めた川口さんは振り返る。これまで各校卒業生による演奏会はなかったが、教員生活40年以上となる恩師の退任に、今だと思った。同期に声をかけ、3校卒業生合同の記念演奏会を企画した。
教え子100人超が集結
昨春、つながりを頼りに演奏者を募集すると、103人が手を挙げた。メンバー間の年齢差は約30歳。北海道や三重県から参加する人もいる。出演できなくても、運営費の協賛や演奏会当日の手伝いを申し出る卒業生も多くいた。「先生の音楽が好きで、一緒にまた演奏会をやりたいと大勢が集まってくれた」。川口さんは声を弾ませる。
合奏練習は昨年7月に開始。曲目は各校に縁のある『リバティ・ファンファーレ』などかつて演奏会やコンクールで演奏したものが中心で、中山さんにも教え子にも思い入れのある曲ばかりだ。
3校卒業生が集う初の舞台。奏者最年長で厚木西高卒業生、打楽器パートの櫻井俊之さん(49)は「『懐かしい』で終わりにせず、高校生の頃とは違った曲の解釈で演奏したい」と意気込む。
中山さんは「初めて演奏会のアイデアを聞いたときは実現できるか心配だった。こんなにも集まってくれて幸せ者だと思う。本番も非常に楽しみ」と笑顔を見せる。
「中山鉄也先生退任記念演奏会」は5月4日(土・祝)、海老名市文化会館大ホールで開催。午後2時開演。入場無料だが、全席指定の事前チケット制。申込みは、電子チケットteket(二次元コード)から。(問)【メール】t.n.kinen.concert@gmail.com
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