♯みゅーじっくコラム♭ 音楽の森 ピアニスト 倉本 卓
現代のピアニストは、ピアノソロの演奏において「暗譜」で演奏しなければならない、というのが世の中の「常識」です。そんな「常識」を破ったピアニストが20世紀を代表する巨匠スヴァトスラフ・リヒテルでした。リヒテルは、「聴衆の心に触れる良い音楽を作らなければならないのが第一の問題であるべき時に、無駄な努力の原点となる暗譜というこの記憶力の競争の類は、まったく子供じみて空疎なことです」と言っています。
近年、ポゴレリチ、ルイサダなどの多くの名ピアニストも譜面を見ながら演奏するようになりました。
ヴァイオリンなど他の器楽の演奏会では楽譜を見ることが多いのに、何故ピアノだけが暗譜で弾かなければならないのでしょうか。
この暗譜で弾くというスタイルは、クララ・シューマンやフランツ・リストが始め、今日までこの慣習が続いています。聴く側が変な先入観を持つこともなく、聴こえてくる音楽に寄り添い、共鳴し、感じることができれば、楽譜の有無は関係ないのだと思います。
今月、サントリーホールにて行われるポゴレリチピアノリサイタルが、非常に楽しみです。
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