市内在住の田中里奈さん(33)が、「改組 新 第1回 日展」の洋画部門で特選に輝いた。作品は国立新美術館(東京・六本木)で12月7日(日)まで開催されている同展で見ることができる。
昨年不正審査が報じられた日展では、名称を改め外部審査員を入れるなどの改革を進めている。特選は一般参加者の中で一番上の賞。田中さんは受賞者10人のうちの一人に選ばれた。
日展には23歳の時に初出品し、翌年に初の入選。それ以来となる今回の特選入賞に「うれしかった。感謝の気持ちでいっぱいですね」とその心境を話す。洋画部門は油絵などのものが多いが、受賞作は木版画だ。
創作活動のきっかけは小学生のとき。年賀状で版画を作ったときに、その魅力にはまった。その後「公募 厚展」の現代表でもある佐藤哲氏の作品に憧れ、佐藤氏が美術教師だった厚木南高校(当時)へ進学。「公募展に出してみたら」というアドバイスを受けたことが転機になったという。
作品は木版画一本。20歳頃から独学で描き続けてきた。受賞した「大地の主」は、縦162cm、横約130cmの作品。木版多色刷りをベースに、筆で部分的に色を散りばめている。
絵の中に描かれているライオンとカバは、それぞれ地上と川辺の主をイメージしたもの。動物の持つ生命力や眼差しの鋭さを表現しているという。
制作期間は構図を決める所から含めて約1年。動物園に通ったり、図鑑を見るなどして勉強し、木版4枚を使って描きあげた。描くのは和紙を使用。わずかな水分でも乾くと縮むため、常に紙を湿らせての作業だったという。
制作のピークとなったのは真夏の時期。木くずが舞ってしまうため、暑さの中扇風機も付けずに作業した。額も自作。作品と額の間に隙間を作る「箱額」にし、作品に空気感を残した。「直接和紙の感じを見てほしい」とアクリルガラスも入れずそのまま。日展の展示会場では、1階の洋画フロアに入ってすぐのところに飾られている。
現在は森の里の自宅で創作活動に励みつつ、木版・水彩画教室の主宰としても活動。厚展の役員にも名を連ねている。
もともとは人物を描いたものが多かったが、最近は動物が主なテーマ。それぞれに共通するのは「感動したことをズバッと表現」できるようにという想い。「もう少しこのテーマで、深いところまで追求できれば」。美術界の新鋭は、早くも次の作品を見つめている。
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