2018年の年頭を飾る企画として、本紙では小林常良厚木市長(68)に恒例の新春インタビューを行った。小林市長は「元気なあつぎ」に向けたまちづくりに対する思いや「進取」を市政運営のテーマに掲げた昨年の振り返り、子育て教育環境日本一に向けた取り組みなどを話した。(聞き手/本紙・編集長 府川美穂、副編集長 鳥海靖史、撮影/植田知成)
――明けましておめでとうございます。18年の幕開けにあたり、今年1年をどのような年にしたいか、市民へ向けてメッセージをお願いします。
「明けましておめでとうございます。皆さまにおかれましては、希望に満ちた輝かしい新春をお迎えのこととお喜び申し上げます。
2018年は、いよいよ新東名高速道路の厚木南インターチェンジ(IC)が開設されます。
昨年12月には記念イベントを開催し、約1万人の皆様と開通の喜びを分かち合いました。20年までに全線の開通が予定され、本市の交通優位性はますます高まってまいります。
こうした中、将来への備えとして進めてまいりました中心市街地の活性化・新たな産業用地創出に向けた事業が、目に見える形として、まさに花開こうとしています。
また、子育て教育環境日本一への取り組みとして、保護者や地域の皆様が学校の運営に参加するコミュニティスクールを全小・中学校へ広げるほか、地域防災計画の見直しを通じて、防災対策の強化も図ります。そして、住み慣れた地域で安心して自分らしく暮らせる地域包括ケア社会の実現に向けて取り組んでまいります。
さらに今年は、本市が進めてきた安心・安全なまちづくりである「セーフコミュニティ(SC)」への取り組みが10年の節目を迎え、11月に『第9回アジア地域SC会議』を本市で開催します。
これまでの活動の集大成として、”安心安全のレシピ”を国内外に発信していきたいと考えています」
市民協働で元気なあつぎ
市立病院全面オープン
――小林市長は2017年のテーマに「進取」を掲げました。昨年1年間を振り返って、厚木市にとって大きな出来事を3つあげるとしたら何ですか。理由もお聞かせください。
「少子高齢化の進展や今後に予測されている人口減少は、市税収入の減少を招き、公共施設の維持管理や市民サービスの質の確保に影響を及ぼすことが心配されています。こうした中で昨年は、市政運営のテーマに「進取」を掲げ、将来を見据えた新しい視点からの発想を意識したまちづくりを進めてきました。
昨年1年の大きな出来事の1つ目となるのは、市立病院の全面オープンです。地域の皆様をはじめ、多くの方々のご協力に心から感謝を申し上げます。新市立病院の建設に当たっては、県立病院時代の地中埋設物の発見、大量のアスベストの使用など様々な課題が発生し工事期間を延長するなど、多くの皆様にご迷惑をお掛けしました。今後は、新市立病院に備えた高度医療に対応できる手術室や医療機器を生かし、市民の皆さまに信頼される医療を提供するとともに、小児・周産期医療や救急搬送患者の受け入れ体制なども強化するなど、地域の医療機関とのスムーズな連携体制を構築し、「地域医療支援病院」としての役割を果たしてまいります。
2つ目は、地域経済の活性化に向けた都市基盤の整備が進んだことです。森の里東土地区画整理事業では、6月に先行整備エリア(6・9ha)が完成しました。企業の誘致も順調に進んでおり、早い企業は今月から操業をスタートします。また、本厚木駅南口の再開発事業では既存建物の解体に続き、今年3月には再開発ビルの建設に向けた工事が始まります。
最後は子育て施策についてです。とてもうれしいニュースがありました。昨年11月に発表された「共働き子育てしやすい街ランキング」(日経DUAL)で、本市が全国(東京除く)6位に評価されたのです。県内では1位の評価です。今後も子育て環境日本一を目指す中で、全国的な課題となっている保育所待機児童ゼロを実現していきたいと思っています」
病児保育事業を開始
――子育て環境日本一を掲げる厚木市ですが、新年度新たに開始する事業などはありますか。また、18年に保育所が3園できますが、どの程度待機児童の解消が見込めますでしょうか。
「今年3月から保護者の子育てと就労を両面から支援していくため、病児保育事業を開始します。病気やけがにより保育園などに行けないお子さんを一時的にお預かりする事業で、県内初となる保育施設併設型として開設します。
さらに就業する女性の増加や核家族化の進行などによって保育需要が増加傾向にあることから、17年度を「保育所待機児童ゼロに向けた総仕上げの年」と位置付け、教育・保育環境の向上と保育所待機児童の受け皿を拡大に取り組んできました。その結果、2つの認定こども園で1・2歳児の受け入れをスタート。今年2月に3つの小規模保育施設が、また、4月には2つの認可保育所が開所し、入所定員も207人増えます。今後も、子育て環境日本一を目指し、様々な施策を推進していきたいと考えています」
3期12年総仕上げの年
――今年は小林市長にとって3期目の最終年です。これまで11年間の市政運営の中で一番大切にしてきたことは何ですか。また、それはどのように実を結んできましたか。
「『元気がない』『怖い』と、いわれていたまちを何とかしたい。これが、私が市長を目指した理由です。スローガンに『みんなでつくろう元気なあつぎ』と掲げたのは、市民協働でまちを変えていきたいという決意の表れでした。その中で大切にしてきたのは、『市民に軸足を置くこと』。市民協働とともに現地対話主義を市政運営の信念とし、積極的に市民の皆様の生の声をお聴きしながら、まちづくりを進めてまいりました。
まず始めに取り組んだのが、市民協働の中心的な担い手であります自治会長の皆さんの声をお聞きする『自治会長とのフリートーク』や、子育て教育環境日本一に向け、子育て中の保護者の皆さんの声をお聞きする『子育てコミュニティートーク』です。身近な課題を地域の皆さんと共に積極的に取り組んできた結果、日本経済新聞社『経営革新度調査』で日本一の評価をいただくことができました。
18年は3期12年の総仕上げの年となります。これまでのまちづくりをぶれずに貫き、市民の皆さまお一人お一人が生き生きと光輝く真の『元気なあつぎ』を築いてまいります」
(インタビューの続きは、1月5日号に掲載予定)
|
|
|
|
|
|
|
<PR>
厚木・愛川・清川版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|