横須賀開国史研究会会長、郷土史家として市内で講演を行う 山本 詔一さん 西浦賀在住 65歳
横須賀の近代史 語り継ぐ使命
○…「150周年事業の機運が、ようやく盛り上がってきた」。郷土史家として走り始めて40年。「近代文化は横須賀から始まった。これを学ぶ絶好の機会」と、節目の年への期待感を表す。
○…横須賀開国史研究会や軍港資料館を作る市民の会など、肩書きは数知れず。講演会や勉強会の講師、コラムや連載執筆など、横須賀近代史の”語り部”として、名前を見ない日はない。「歴史上の出来事を並べるだけではつまらない。当時の文化や世相、いつも少し横道に逸れてしまうけど、そのほうが興味も広がるでしょ」と微笑む。もちろん、伝えたい柱は外さない。「歴史はなまもの。今の感覚に紐解くのが私の役割」
○…講義や執筆の準備では、とにかく文献や人に当たる。江戸時代から続く家業は書店。物心がついた時から本に囲まれていた。探究心の原点は小学生の頃だ。貝塚があった校庭を掘り起し、土器を見つけた。「持ち帰って割れた部分を貼り合わせて、縄文土器だと分かって」。発見の驚きと、当時の生活に手が届くような感覚。怒られはしたが、フィールドワークの面白さを体感した。大学の史学科でも関心があったのは、人々の暮らし。その生活背景に何があったのか。「民俗学、歴史学すべて郷土史なんです」。講師デビューは、家業を継いで働いていた20代。当時の婦人学級で講義をすることになった。矢継ぎ早に飛び交う質問に答えるため、必死で勉強した。5年ほど続いた講義は大きな転機となった。かつては郷土史家が市内にも多数いたが、地域の歴史を直に学ぶ機会が減る中で、次世代へ伝える使命感もにじむ。
○…郷土史を辿ると、横須賀は自然も文化も豊かな生活をしていたことが分かるという。横須賀の開放的な気質も影響していると推測する。「150周年の次は、浦賀奉行所300年だね」。厚みのある歴史・文化を掘り起こす面白さは、まだまだ尽きない。
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