日本動物愛護協会が主催する日本動物大賞で「社会貢献賞」を受賞した 若山 三千彦さん 大矢部在住 50歳
願い叶える「ペットと最期」
○…老人ホームに入居を決めた高齢者。気がかりは自分の健康よりも長年連れ添ったペットの行く末だ。
「愛犬をやむなく保健所に引き渡した男性が気落ちして、半年もたたずに亡くなってしまった」。実際に目にした光景だが、そんな事例は枚挙にいとまがない。高齢社会の新たな問題。これの解決策として、4年前に開設した特養ホームに犬や猫と最期まで暮らせるフロアを設けた。現在、猫10匹と犬6匹。入居者の寂しさを慰めるのに一役を買っている。
○…しつけや衛生面の対応に加え、人手も取られる。介護報酬の引き下げなどもありホームの経営事情は厳しい。それでも続けているのは、社会福祉法人を立ち上げた両親が掲げた理念と思いがあるからだ。「介護が必要になっても人生を楽しむためのサービスを提供する─」。ひと昔前の福祉の現場では「生きるための最低限のケア」という考え方が大勢。これを打ち破り、デイサービス施設で高級料理を提供、車イスで参加できるバスツアーも早い段階から実施してきた。
○…30代前半まで茨城県にある私立高校で教鞭を執っていた。ある時、両親から定年退職を機に福祉事業に専念することを告げられた。障がい者や高齢者を支援のボランティアに奔走する姿を幼少期からずっと見ていた。「ついに、そこまでやるか」と驚いたが、手伝うことに迷いはなかった。今では特養ホーム、グループホーム、デイサービス、知的障がい者施設と経営は多岐にわたる。どれも地域社会から求められて広がったものだという。
○…全国を見渡しても、ペット共生型の老人ホームの数はまだまだ少ない。ここでは、近隣の動物愛好家が集まって犬の散歩や猫の世話を行うなど地域交流の拠点にもなっている。今月13日に日本動物愛護協会の授賞式に出席する。「(私たちの)取り組みが広く発信され、何かが動き出すきっかけになれば」
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