紙芝居作家として創作活動の傍らで、子ども向けの手づくり教室なども行う 佐藤 まもるさん 池田町在住 57歳
紙芝居は「感情の共感」
○…「作り上げる達成感だけでなく演じる楽しさも味わえる」―。紙芝居の魅力を満面の笑みで語る。伝えたいのは、技術だけでなく「同じ空間で感情を共感する喜び」。テレビゲームやインターネットで1人遊びをする子どもが増えるなか、人と向き合う楽しさを感じてもらう。
○…25年前、劇団員募集の文字に目がとまり演劇の門を叩いた。引っ込み思案な性格だが”役者”という殻を被り己を表現することに快感を覚えた。「”演者”という新たな自分を発見した瞬間だった」と振り返る。稽古や打ち合わせで集まることの多い演劇に仕事との両立の難しさを感じ始めた頃、新聞で「手作り紙芝居コンクール」の存在を知った。興味本位で見に行くと絵の引き抜き方、声色、台詞回しなど迫力ある演じ手に引き込まれ、すぐに挑戦。題材にするのは石や時計など「人以外の日常にあるモノ」。「妄想を膨らませて命を吹き込んでいくのが好き」と目を細める。温もりのある絵には柔らかい人柄がにじみ出る。
○…2012年の神奈川県コンクール一般の部で優秀賞に選ばれた。その頃、同コンクールジュニアの部に横須賀からの応募がないことに気づく。勉強や遊びにスマートフォンなどのデジタル機器を使う子どもの姿を思い浮かべ「寂しく感じた」。”スカっ子”にも紙芝居の「作る・演じる・共感する」面白さを感じて欲しいと一昨年、手作り教室を始めた。
○…普段は県の職員として、就労を希望する障害者と雇用に取り組む企業との架け橋を担う。手作り教室でも紙芝居と子どもをつなぐ役として優しく手ほどきする。毎回教室の冒頭で行う紙芝居実演に、目の色を変えて前のめりで見入る子どもたち。「物語の中に仕掛けたダジャレなどの笑いがヒットした瞬間がとても気持ちいい」。子どもたちに「感情の共感から生まれる”一体感”を伝えたい」と微笑んだ。
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