「心友 素顔の井上ひさし」を執筆した 小川 荘六さん 深田台在住 84歳
言葉選ばず言い合える友
○…小説家や劇作家として知られ、日本ペンクラブ会長も務めた井上ひさしさんの没後10年。大学での出会いから54年間の思い出を著書にまとめた。「井上から『話し言葉と書き言葉は全く違う言語』と忠告されてきたので依頼を即座に断った」というが、「語り部として後世に残すのが親友の責任」という井上さんを長年担当してきた編集者の言葉に後押しされ筆を執った。「書くことは素人だから自分も周りも大変だった」と笑う。
○…実家は米が浜通にあったもやし製造業。不入斗中、横須賀高校を卒業後、入学した上智大学で井上さんと出会う。以来東京から横須賀へ頻繁に足を運び、数日寝泊まりすることも多々。井上さんが作家の道を歩む一方、卒業後は市役所や会社役員として組織管理や人材育成などの研修講師として全国で活躍。互いを取り巻く環境は変わっても関係は何も変わらず続いた。「根っこに同じものがあったから」
○…”心友”。そう互いに呼び合った。肺がんで亡くなった際はショックのあまり1年以上気力を失った。「井上との出会いがない人生なんて考えられない。この本が人との出会いや付き合い方を見つめ直すきっかけになれば」と微笑む。
○…「彼は分け隔てなく誰にでもまっすぐ。私も言いたいことははっきり言う」。政治や社会問題について議論が始まると徹夜の覚悟が必要。互いにヘビースモーカーで明け方には吸い殻がこんもり。それは歳を重ねても変わらず。「『天国や極楽は善良で真面目な人がいくところだから、面白い人間が集まっているのは地獄らしい』と言っていたから、彼は今頃地獄にいる。もう少し待ってろよ、缶ピースを持っていくから」。長い『雑談』を今から楽しみにしている。
|
<PR>
|
|
|
|
|
|