アマモ場再生などに取り組む「よこすか海の市民会議」の代表 今井利為(としため)さん 森崎在住 64歳
海の再生、次世代に託す
○…「海は、触れて遊んで食するところ」をモットーに、追浜のアマモ回復事業やシンポジウムなどを開催。地域の子ども達に海に慣れ親しんでもらおうと、観音崎や深浦湾で観察会も行っている(=よこすか海遊クラブ)。百科事典の写真やインターネットのバーチャル空間だけでなく「実体験を通じて海の魅力や楽しさ、そして危険があることも知ってほしいです」。
○…戦後の人口集中。下水道から出る富栄養化水による赤潮。高度成長と大規模な埋め立て。それらが、横須賀の海の姿を激変させた。1〜2キロ広がっていた浅い海域は無くなり、エビやワタリガニなどの生物が見られなくなった。「これではいけない」。横須賀の港湾計画の改訂に際して環境に配慮するよう要望し、03年に発足したのが「よこすか海の市民会議」だ。
○…肩書きは水産学博士。栽培漁業の専門家としての顔ももつ。マダイ種苗の放流と漁獲・釣獲量の推移や経済効果などを論文で発表するなど、積極的に発信。マダイは仔魚の時期、アマモ場で成育することを教えてくれた。そこは、産卵や育成に適した大切な住みか。70年前、追浜の海にはアマモが広がり、地名の通り浜があった。市民会議ではアマモの植栽をはじめ、追浜に砂浜を取り戻す活動を展開。思いは形となって現れている。7月16日の海の日、その功績が称えられ市民会議は国交省関東地方整備局から表彰された。
○…「(観察会では)子どもの”なぜ?”が恐いんですよ」。生き物の名前や生態など、答えに詰まることを質問されることもあるからだ。だが、言葉とは裏腹に微笑んで語る。専門的なことは、彼らが大きくなり、海を生業にして初めて必要になるかもしれない。それでも、子ども達の好奇心は大切にしたい。かつて豊かな海が広がっていた横須賀。失った時間以上に、元に戻すのには時間がかかる。その思いはリレーのように、次世代に託す。
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