葉山町堀内の旧平野家住宅主屋が国登録有形文化財に登録される運びとなった。国の文化審議会が11月24日に文化財分科会を開き、旧平野家を登録するよう文部科学大臣に答申した。登録が決定すると、町内の登録有形文化財(建造物)の登録件数は10件になる。
現在の所有者はこの家を建てた故・平野武二氏の四女で都内在住の東田(とうだ)泰子さん(84)。東田さんは「私はこの家で生まれ育った。家族で普通に暮らしていた家が、国の登録有形文化財として認めていただけるとはうれしい驚きです」と喜びを語った。同時に「今後も守っていかなくてはならないと、責任も感じている」と話した。
同宅は1936年、材木商の平野氏によって建てられた。東田さんによれば、当時、樺太(現サハリン)に住んでいた同氏は、体の弱かった娘たちのために、気候の良い保養地である葉山に家を建てたのだという。
その頃の葉山は別荘が多く建つ中、常住の住宅として建てられた。木造平屋建、桟瓦葺(さんかわらぶき)で庭に面して濡縁(ぬれえん)・榑縁(くれえん)付の座敷を配置し、背面には随所に銘木を用いた中2階の座敷を後に増設した。上質な近代和風住宅で、昭和前期に葉山に築かれた郊外住宅の好例とされる。
2017年まで東田さんの姉が居住していたが、18年に死去。空き家となったが、古民家としての価値が注目され、20年からコミュニティスペースと宿泊施設「平野邸Hayama」として利活用されている。同施設を運営する(株)エンジョイワークスの福田和則社長によれば、日中は地域の人たちのサークル活動やワークショップでの利用が多く、宿泊施設としての稼働も合わせると、約9割の稼働率だという。
東田さんは「姉は生前、自分がいなくなった後は親族が住むか、葉山の方々が使えるようにしてほしいと言っていた。今、地域の皆さんに使っていただくことで、家の手入れも行き届いていて、ありがたい」と感謝を口にした。
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