港南台で活動するボランティア「音楽のひろば」の代表として15周年を迎えた 末川 由実さん 港南台在住
ハーモニーに願いをこめて
○…港南台地域ケアプラザで月に1度開催している「音楽のひろば」は、高齢者を中心に歌や合奏を楽しむ場となっている。楽譜が読めなくても参加できるよう、ハンドベルでは音階を色で表現した自作の楽譜を使用している。「練習も必要なく、その日に初めて来た人も楽しめるように。だけどずっと来続けてくれている人も多くてありがたい」。活動開始からの15年間は「参加してくれる人に『がんばれ、がんばれ』って支えられて、どうにかここまで続けてこられた」。
○…知的障害がある子どもらを対象にした音楽療法に長年携わり、その要素を音楽のひろばにも取り入れている。「音の波が脳のどこかを刺激すれば、心身によい影響を及ぼしたりするんじゃないかな」。音に合わせた体操をしたり、お茶の時間をともにしたりと、笑い声のあふれる空間となっている。「療法」ではあるものの、「みなさんが一生懸命に取り組んでいる姿や優しい言葉に励まされる。いつもこちらが元気をもらっている」と明かす。
○…愛知県岡崎市出身。5歳から始めたピアノは楽譜通りに弾くのが苦手だった。だが、「ユーミンのようなシンガーソングライターになりたい」と自由に音で遊ぶ時間が好きだった。高校で音楽科に進み、上京後は音大のピアノ科で学んだが、劣等感にさいなまれることも多かった。「そんな私だから、上手く弾けない人の気持ちはよく分かる」。自宅のピアノ教室でも、楽譜が苦手な子や練習嫌いな子とじっくり向き合い、時間をかけて着実に上達へと導いてきた。
○…活動を始めた当時65歳だった参加者は80歳になり、中には90歳を超えて通い続ける人もいる。年を重ねるうち、足を運ぶのが困難になったり、亡くなってしまった人も少なくない。そのさみしさにはやりきれない思いもある。だからこそ「毎回を楽しいひろばにし続けていきたい」と前を向き、朗らかに音を楽しむ。
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