第2次世界大戦前のカナダで活躍した日系移民の野球チーム「バンクーバー朝日軍」を前身とする少年野球チームが横浜を訪れ、24日に中区内で開かれた地元横浜の野球チームとの交流会に参加し、交流試合も行った。初代の人がカナダに渡ってから1世紀、それぞれの地で日本野球を引き継ぐ子どもたちが親睦を深めた。
訪れたのは「バンクーバー新朝日軍」。1914年にバンクーバーで結成され、戦争の影響で解散した日系人野球チーム「バンクーバー朝日軍」を前身として、創立100周年を記念した2014年に設立された。横浜とバンクーバーの姉妹都市提携50周年の2015年に続いて2回目の来訪。
朝日軍には野球史に刻まれる栄光の歴史がある。20世紀初頭、夢を描いて異国の地に渡ったものの、待ち受けていたのは人種差別。選挙権も被選挙権もなく、市民として公平ではなかったという。ただ、野球だけは公平。高い技術力とフェアプレー精神で戦い、リーグ優勝するほどの強豪となり、日系社会の誇りとして多くの人から敬愛されるチームだったという。2014年公開の妻夫木聡さん主演の映画『バンクーバーの朝日』でも話題となった。
今回は新朝日軍の約20人が参加し、横浜南ボーイズと横浜泉リトルシニアの2チームが迎えた。交流会にはチーム関係者のほか、横浜市職員や地元選出の県議・市議らも参加し、食事をしながら親睦を深めた。
新朝日軍の山本陽郎さん(15)は「朝日の名のもとでプレーできるのは光栄。野球は日本ということを世界に見せたい」と話した。
朝日軍の初代エースの長男で、映画の原作『バンクバー朝日〜日系人野球チームの奇跡〜』の著者のテッド・Y・フルモトさんも交流会に参加。「こうして交流できることが嬉しくて感動する。彼らは平和の使者。野球を通じて平和が続いてほしい」と喜びをかみしめた。
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