陸前高田市戸羽太市長 仲間の大切さを伝える 母校で初講演
青年時代を町田市で過ごした岩手県陸前高田市の戸羽太市長が25日、母校の鶴川第四小学校、鶴川中学校を訪れ、講演を行った。戸羽市長は講演の中で被災当時、復興の現状などのほかに、『仲間の大切さ』『当たり前の大切さ』を児童・生徒に語りかけた。
今回の講演は母校である両校が、戸羽市長を応援しようと同級生などで組織する「町田鶴の羽の会」を通じて依頼していたもので、今回初めて実現した。
午前中は鶴川第四小の5、6年生を対象に、午後は鶴川中学校の全生徒に向けてそれぞれの学校で講演した。「久しぶりの母校だね」と目を細めながら、「震災後、手紙や千羽鶴、こいのぼりなどを送ってもらい、勇気と元気をいただいた」と児童、生徒へのお礼から講演が始まった。
東日本大震災で甚大な被害を受けた陸前高田市。「市内では1556体の遺体が見つかり、未だに215人の方が行方不明の状態。この一年で発見されたご遺体は1名のみ…」。被災の爪痕を数字で表現した。「215名の家族はまだ探している。時間を進めなければならない人もいれば、時間がまだ止まっている人もいる」と人により復興への意識が大きく違うという。
大震災の約1カ月前に市長に就任した。「市長の経験もないのに、俺がこんな大惨事を乗り切れるわけない。俺に何ができるのだろうか。自分ひとりでできるだろうか」とガレキの山、多数の死体を前に思ったという。「その時、『友だちになってくれませんか』と声を掛けてくれた人がいた」と振り返る。「友だちとして心配したい」と言ってくれたという。その言葉で「あれもこれも自分ひとりでしなくてもいい。自分ができないことは仲間にまかせ、みんなでこの状況を乗り越えよう」と決心したという。子どもたちを前に「友だち付き合いは面倒なこともあるけど、友だちは人生を豊かにしてくれる。多くの友だちを作ってほしい」とエールを送った。
また当たり前に暮らせることへの感謝、人への思いやりの大切さを語った。
「君たちはあと10年、15年後には日本を背負って立つ年代になる。今現在も興味を持って日本という国を見て、一員であると知ってほしい」と呼び掛けた。
「僕たちは何をすればいいですか」という子どもたちの問いに、「誰も観ていなければ人は頑張れない。たまにでいいから被災地のことを思い出してほしい。そして一度、被災地を訪ねてほしい。僕たちも本当の笑顔で迎えるから」と優しく語りかけた。
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