2013(平成25)年は、大和市長と大和市議会にとって大変に重要な1年となる。議会ごとに多くの議員が一般質問などを通じて市側の考えを問う大和駅 東側第4地区再開発ビルへの複合公共施設の整備計画。新年にあたり、概算工事費が109億円とも124億円とも、さらにそれ以上ともいわれるビッグプロ ジェクトの経過と展望を整理する。
政治判断の「文化創造拠点」整備計画
この事業は、大和駅東側プロムナードの南側にある約1・2haの種地に、民間の組合が地上5階、地下1階の再開発ビルを建設。その約9割に芸術文化ホールや図書館、生涯学習センター、子育て支援施設などをまとめて整備する計画。
地区内に土地などを所有する大和市や相鉄グループや地元住民ら36人がつくる再開発組合が開発を担う。 この計画は2006年に大和市が都市計画決定し、2007年3月に県が組合の設立を認可した。
過去の経緯
当初の計画では、地上14階の住宅棟と4階建ての商業施設に公共施設棟も整備する予定だった。
公共部分には市が音楽スタジオなどを備えた交流施設と屋内公園を備えた子育て支援施設を配置。補助金や保留床購入費などの負担は約27億円とされていた。
2007年にこの方針を決定した大木市長は当時の議会で「再開発事業の抜本的な見直しを検討したが、時すでに遅く、放たれた矢は戻すことができない。(都市計画決定の)当時、私が市長だったならこの事業は開始しなかった」と述べた。その後、08年9月のリーマンショックで建築資材が高騰。保留床価格が上昇して計画がとん挫、翌09年10月に市が現在の複合施設計画を提案した。
費用は1月公表
大和市の現在の計画は再開発ビルの約9割を保留床として取得して芸術文化ホール・図書館・生涯学習センター・子育て支援の拠点施設を整備するもの。計画段階での整備費は約109億円で市民1人あたり約5万円の負担になる計算。
これまでのところ大和市は、総事業費や財政計画を明らかにしていないが、12月定例会でこれらを指摘された大木市長は「1月をめどに議会に説明する」と述べるにとどめた。
さらに施設整備の理念を問われ「施設の相乗効果を期している。子どもから高齢者まで幅広い市民が集う文化の創造拠点に大きな意義がある」とした。
また「子どもが施設を利用することで創造性が育まれ、そこで得た体験は何物にも代えがたい貴重な財産になる」と述べるなど計画に自信を見せた。
緊張高まる
一連の計画では昨年12月、元日産自動車副社長で大和市教育委員の現職委員長(72)が「税収が減り必要な支出が増える中で、このようなハコモノ投資は常軌を逸している。計画の十分の一の予算があれば学校の施設環境がもっとよくなる」などと計画に反対して辞職。議会では計画推進を求める議員がいる一方で「ビジョンが不明確」「情報公開や説明責任が果たされていない」などとの指摘が相次ぐなど緊張感が高まっている。
市は複合施設の完成を2015年3月としてきたが、昨年末の議会では、同年秋までずれ込む可能性を示唆した。同年4月には市長選挙が予定されており、大木市長が3選を目指す場合にはこの計画が大きな争点になるとの見方も出ている。
今年の3月議会では保留床取得費を盛り込んだ予算案の審議が予定され、事実上の事業の可否を決する段階に差し掛かっている。
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