農家ではない人が農作業をボランティアで支援する「援農」の取り組みが葉山で広がっている。繁忙期に定植や収穫を手伝ったり、土作りから手掛けるケースなど様々で、人口減少や高齢化で農業従事者の数が減少傾向にあるなか、人手不足解消や休耕地の復旧に一役買っているようだ。
葉山町上山口にある寺前谷戸。ここでは3年ほど前から援農が始まった。活動するのは「二子山山系自然保護協議会」のメンバーら。農園管理プロジェクト内にチームを立ち上げ、13人が応援要請を受けてそれぞれ農作業に取り組んでいる。
活動場所は谷戸内に点在する農地の内のべ約千平方メートル。発起人でメンバーの加々尾泰郎さん(76)=堀内=によると、最も広い700平方メートルの農地は元々稲作が行われていたが、5年ほど前から手つかずになっていた。地権者の承諾を得た上で水田を畑に改良し、昨年は小麦やそば、野菜類など30種類近くを収穫したという。水はけを良くするために側溝を掘り、土を耕したりするなど重労働も多いが、「畑仕事は楽しいし、自分たちが関わった無農薬の野菜が食べられるのは魅力」と話す。今後はメンバーで協力して新たな特産品を育てる構想もあるという。
農家減少の一途
こうした動きの背景には全国的な農業従事者の減少がある。葉山町も例外ではなく、国が5年に一度まとめる「農林業センサス」の神奈川版によると、2000年に156人だった農業人口は減少の一途を辿り、15年には同年対比で31人少ない125人になった。平均年齢も73・1歳と高齢化が顕著で、担い手不足から休耕地になる農地も少なくないという。
また葉山町には三浦市や横須賀市などと比べて1軒あたりの農地面積が小さく、交通の便が悪い場所も多い。町産業振興課では「耕作地が限られる中では費用をかけて人手を増やすことは難しい。ボランティアが生産者の労働力の一部を下支えしている側面はあると思う」と話している。
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