小田原市みどり公園課が市内の街路樹を一斉調査し、「倒木の可能性がある」と判断された城山3丁目の桜15本のうち、3本が1月16日に伐採された。これを受け、ソメイヨシノに親しんできた地元住民たちが声をあげ、伐採を予定していた残り12本は『一時凍結』となった。
伐採について「安全性を第一に判断した」と説明する市に対し、桜のある3丁目在住の瀬戸ひふ美さんは「このあたりは桜の古木の集積地として市内でもとても珍しい場所。伐採による小田原の文化的損失は計り知れない」と計画中止を求めた。
2月18日には、瀬戸さんが住民有志の意見をまとめた提案書を、市みどり公園課に提出。今後の方針について、住民の意見を幅広く吸い上げて決めてほしい旨を盛り込んだ。地元住民からの提案を踏まえ、市は住民と一体となり、3月下旬を目途に、意見交換の場を設けるよう調整していく方針だ。
住民は”寝耳に水”2度目の伐採は直前に回避
1月16日、トラックが城山3丁目の高台に停車。3本の桜が伐採された。計画を知らなかった住民にとって「寝耳に水」の出来事だった。その後、周辺の12本も2月上旬までに伐採されることを知った瀬戸ひふ美さんらは、計画中止を求めて小田原市みどり公園課と交渉を重ねてきた。
発端は昨年4月。川崎市の商業施設でけやきの枝が落下し、女児が負傷した。これを受け、市内の53路線の街路樹、公園146カ所の樹木を管理するみどり公園課は、樹医に依頼して安全調査を実施。倒木などの危険性があり、処置が必要とされた樹木の中に、3丁目の桜も含まれていた。
調査結果を踏まえて、市は6月に住民説明会を開催。該当する第1区自治会には約360世帯が加入しており、説明会の案内は回覧板を通じて通知されたが、参加したのは8人。9月には自治会役員に対し、3丁目の市道に植栽された桜15本に空洞化が見られ、伐採の対象である旨が伝えられた。瀬戸さんは「説明会にもごく一部の人しか参加しておらず、住民の総意が得られていないのでは」と疑問を投げかけた。
「行政・住民の協働管理も」
1月16日に最初の3本が伐採され、28日には、直前に迫った残り12本の伐採計画を市が住民に通知。そこで、瀬戸さんや安倍千晶さん、鈴木敦子市議らは2月2日にみどり公園課を訪問。伐採したうちの2本は空洞化が著しくなかったことにふれ、再検討を求めた。計画は『一時延期』に。8日には、住民が依頼した樹木医が再調査を行い、「すべてが倒木の可能性が高いわけではない。剪定などが必要なものもあるが、伐採を急がなければならないものはない」と診断。市は結果を受け、予定していた伐採をすべて『延期』とした。
3丁目のソメイヨシノは、60年以上にわたり地域住民から親しまれてきた一方、小枝落下による物損や、一部の道幅が狭くなって緊急車両が通り抜けられないという意見もある。
2月18日に瀬戸さんが市へ届けた提案書には、住民と行政の協働管理について記載。「街路樹の管理は市も負担が大きいと思う。住民が参加することで、きめ細かい管理も可能になるのではないか」と瀬戸さん。市担当者も「住民の意見をしっかり聞きたい」と話した。
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