小田原名産のひとつ、梅の収穫量が天候不順の影響で大きく落ち込んでいる。6月で収穫がほぼ終了し、JAかながわ西湘の今シーズンの取扱量(入荷量)は、平成に入って最少の160・751tとなったことが分かった。
JAかながわ西湘(以下JA)によると、平成元(1989)年以降で最も取扱量が少なかったのは、「凍霜害の年」と言われる2010年。梅の開花時期に低温が続き、実が少なく、なった実も凍って地面に落ちてしまうものが多かった。この年の取扱量は約168t。梅だけでなく、茶や農作物全般が多大な被害を受けた。「この年より悪くなることはない」と思われていたが、今シーズンさらにその量を下回った。
今年の梅は1月末頃から咲き始め、開花時期が長かった。開花後に続いた低温や乾燥した気候が梅の生育に影響。JAが4月に実施した収量調査時の予想は、約209tだった。主に曽我地区の梅農家で構成される市梅研究会の穂坂成雄会長(71)は「それでも、6月の収穫最盛期までに高温と雨量があれば、もう少し増える可能性はあった」と話す。実際は気温が上がらず、雨量も少なかった。
品質良好で高値取引
今シーズン、収穫が少ないのは小田原だけではない。「和歌山や群馬も収穫量が減っている」とJA担当者。また、「小田原の梅は、量は少ないが、梅自体はきれいで品質も良好。市場では例年より高値で取引されている」という。生梅の価格が安定していることから、農家への被害は少ないとみられているが、各農家が作る梅干しなどの加工品は減少。「商品が出回る2〜3年後に影響が出るかも」との声も。全国的な不作の影響か、JAで扱う宅配や直売の出荷量は例年より増加傾向にある(7月18日時点)。
穂坂会長は「今年は悪かったが、来年は木が疲れていない分、豊作が期待される。木の枝の処理などをしっかりと行って、来シーズンに向けて準備をしていきたい」と語った。
また、7月が出荷の最盛期となるプラムも取扱量が激減。入荷量は18日時点で昨年の2〜3割ほど。JA担当者は「梅と同様にプラムも全国的に不作。おそらく過去最低の取扱量になりそうだ」と話した。
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