折本町 早苗地蔵が350周年 講で伝える歴史物語
折本町の堂ヶ坂にある早苗地蔵は実在の人物をモデルとしており、その歴史物語は地元の人の間で語り継がれてきた。今年は建立350周年にあたり、9月24日には講員の間で節目の年を記念した地蔵講が行われる。
早苗地蔵は、かつて稲作地帯だった折本町で用水路建設に携わった父娘を讃えるために作られたもの。1530年頃、干ばつに見舞われ飢饉におちいることも多かったため、役人が用水路の建設を考えていた。しかし、当時としては途方もない計画。これに賛同しともに作業を始めたのが、地蔵のモデルとなった了信という僧とその娘、つが。京都から旅して折本町に住み着いていた父娘だった。苦難の道のりの末、用水路は1539年に完成するが、了信とつがは作業の最中、土砂崩れにより亡くなってしまった(諸説有り)。村人たちは感謝の気持ちを忘れることなく、1662年に了信の地蔵、1682年にはつがの地蔵をまつった。以後、豊作を願って田に植える若い苗をお供えしたことから「早苗地蔵」と呼ばれるようになった。
この地蔵を守り、毎年9月24日と3月24日には地蔵講が行われている。参拝を行う講は昭和の初め頃につくられたもので、角田稔講長(67)は4代目となる。今年は350周年を記念し、講員約25人のほか折本小学校長や折本町会長などを招いて開催される。当日は、地蔵の近隣に位置する淡島社公民館で早苗地蔵物語の読み聞かせなどが行われるほか、地蔵や稲作を歌った「早苗節」を合唱するなど、地元の歴史を改めて共有する。
角田講長は、「ただお参りするだけの地蔵講ではなく、その意味をみんなが知る350周年になれば」と話している。
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