県政ジャーナル 福祉国家像を考える好機に 神奈川県議会議員 小野寺慎一郎
私は昨年元日の本紙に、医療やロボットなど先端分野における革新的な技術により、神奈川らしい経済成長を果たし、社会保障の充実など県民福祉の向上につなげていきたいという趣旨の記事を寄せました。
今、京浜臨海部の国際戦略総合特区では、iPS細胞を活用した再生・細胞医療のほか、超微細な「医療機器」が体内を巡回し、がんなどの病変を検出・診断・治療する「スマートナノマシン」などの研究が進んでいます。
また、公明党が中心となって推進してきたロボット戦略では、介護やリハビリ分野での活用に加え、老朽化が進むトンネルや橋、道路などの社会インフラを点検するためのロボットの実証実験も始まります。
先進国のはずが…
そして、神奈川県の重要課題である「がん」対策。血液中のマイクロRNAやアミノ酸バランスを調べて、がんを超早期に発見することや、遺伝子解析によって患者やがんの個性に合わせた個別化医療も可能な時代を迎えています。
本県にはこのように成長要因はあるものの、わが国全体としては所得の不平等と経済的困窮が深刻化しており、相対的貧困率はOECDに加盟する34か国中6番目の高さとなっています。
高齢者の5人に1人が貧困ライン(名目値で年収122万円)以下の生活を余儀なくされ、子どもの相対的貧困率も過去最悪の16・3%。6人に1人、約325万人の子どもが貧困状態にあり、こちらは先進20か国中4番目の高さです。
不平等を是正し、貧困に対処するために、私たち日本国民は、どのような福祉の形を望み、そのための税や保険料の負担増をどこまで許容するのか。
消費税率のアップと軽減税率の導入論議で税に対する関心が高まっている今こそ、国民負担と福祉のあり方について、国民的議論を興す好機ではないでしょうか。
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