アパートオーナーの哲学―【2】 省エネ住宅を考える 「北米大陸の新開発」
私は北米籍の企業に勤め、転勤で親会社の本社でも働きました。もちろん社内外の文章は英語ですし、口頭手段も全て英語です。脱サラ後は、そうして養った語学を生かして、欧州と北米大陸、ニュージーランドなど木材資源を主材木として個人住宅をつくる国を訪ねては、省エネ技術の調査を進めました。
現地調査してきたアメリカ・カナダでは、1964年に各地に散在した建設関係者や企業、個人ら約8千人が資金を出し合って、本格的な省エネ木造住宅の技法開発を目的とした私設の研究開発機構を設立したそうです。その結果、今のような廉価ながら高いレベルで省エネに寄与する新建材を生み出したり、従来ストーブで燃やすしかなかった製材所のゴミとして捨てていた木材の切れ端を使って頑丈な人工木材などをつくり出しました。また、木の2千倍もの熱伝導率を持つアルミ製の窓枠やドア枠を木製に切り替えて、外気温の影響を受けづらい木枠の窓や掃出しドアも生み出したと聞きました。さらに、砂漠地帯やフロリダをはじめとした亜熱帯地帯からアラスカのような極寒冷地など、広大な北米大陸の異なる気候や条件を満たすような建材開発を95年時点で終えていたことも知りました。
研究機構が開設されてわずか31年間でこのような研究を完成させた彼らには、賛意を送ると同時に、我が国との力の差に喪失感を感じました。外から見た日本は違った風に見えるので、特に若者にはぜひ一度、母国を外から見てほしいと、つくづく思います。
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