「第41回東京書作展」で文部科学大臣賞・準大賞を受賞した 内藤 紫春さん(本名:内藤久子さん) 東希望が丘在住
書で進化し続け
○…審査結果の連絡を受けたときは「心臓がどきどきして信じられなかった」。5回目になる出展、周囲からのプレッシャーも感じながら、「今回が最後」と思い臨んだ。穂丈8・5cmの筆、超長鋒を使えるようになりたいという強い思いも結果につながった。不安に感じていた絹紙に墨が上手くなじみ、空間や文字の流れ、強弱や墨の濃淡など「絵画を意識する気持ちで書けた」と達成感を口にする。
○…小学校の教員として40年以上勤務。退職後も臨時職員として指導に当たっていた7年前、検診で乳がんの疑いが見つかった。検査結果を聞く前日、不安でいっぱいの中で夫が急逝。「当時は世の中の移り変わりが分からない気分だった」。検査結果も陽性。混乱と失意で胸が張り裂けそうになりながら、息子2人と力を合わせ、葬儀や手続きに注力した。法要を終えてから、手術と治療を開始。退院後も片づけをしながら治療を続け、無事に病気を克服した。
○…整体院を営んでいた夫が残したビルを活用し、教員としての経験を生かすため「塾を開こうと思っていた」。そんなとき、新聞を読んでいて書道学校の広告が目に留まった。すぐに電話をして入会。「一生学べる書で、子どもたちと関わりながら働けたら」―。新たな目標ができ、通学して2年で師範を取得。開校に向けて書道展への出展に挑戦し続け、昨年2月に「希望ヶ丘書道教室」を開校させた。
○…夫の他界と自身の病気、後悔の気持ちで「3年くらいは笑えなかった」と明かす。しかし、重なった多くの出来事が書道との出合いにつながった。「いくつになっても勉強して進化し続けたい。パワーをもらえる子どもたちと関わって、これからも書道の楽しさを伝えられたら」
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