金子さんの草花の不思議発見!第34回オミナエシ 美女に例えた花も臭いは悪臭 文・日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇
古今集「女郎花秋の野風にうちなびき心一つを誰によずらむ」(藤原時平)
秋の七草の中でも最も美しくしなやかな花「オミナエシ」(女郎花)のお話。昔の人はオミナエシが風になびく、そのすらりとした端正な姿から美しい女性を連想させたようです。万葉集では、「美人部為」「佳人部為」と表現されていましたが、その後「女郎花」に統一されました。
名の由来には、この花の美しさを「美女をも圧(へ)す」と例えられたこと、花の黄色から粟の粒に見立て「オミナメシ(女の飯)」と白い花のオトコエシ(男の飯)を白米に見立て、男尊女卑の意(現在では差別用語)からつけられたこと、また漢名「黄如稗子」(ウォンナベシ)から転訛したことなど諸説あります。
オミナエシの花は乾燥してくると悪臭が強くなり、また生け花にすると水が臭くなってきます。中国名では腐った醤油の匂いがするため「敗醤」と表します。同じ仲間のオトコエシも同様です。
オミナエシとオトコエシとの雑種を「オトコオミナエシ」いい、淡黄色の花で中間的な性質を持っています金沢区内にはオミナエシは自生していませんが、オトコエシは見ることができます。箱根等の草原に自生しているオミナエシは陽性植物のため、人の手入れが入らないと、何時しか消滅していく植物の一つです。
|
<PR>
|
|
|
|
|
|
<PR>