金子さんの草花の不思議発見!第39回カイヅカイブキ 祖先返りの「葉」が現れる 文・日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇
庭木や公園樹(写真左上)でよく見かける「カイヅカイブキ」は、ビャクシン(イブキ)の栽培品種といわれますが、定かではありません。
発芽したばかりの枝や強く剪定した枝には、通常の葉(鱗片葉という)でないスギのような葉(針葉という)が生じることがあります(写真右上)。この針葉はビャクシンの原始的な形質で、発芽時や下部の枝、樹勢が弱まった時によく現れる「祖先返り」という一次的な現象です。祖先返りの現象は、他にイチョウやヒイラギの葉、スイートピーの花色等でも見ることができます。
また剪定されない若い枝の先端は、捩れて北の方向に傾く性質があります。これは植物ホルモンの関係で、南側が大きく伸びるためです。
「梨園の近くにカイヅカイブキを植えるな」といわれていますが、カイヅカイブキには「サビ病」の一種が発生しやすく、この病原菌は初め赤味のある茶褐色の塊で、雨の水分を含むと光沢のある黄褐色のゼリー状(写真左下)に変わります。ここから胞子が飛び出し、ナシの葉に付着すると「赤星病」の感染となります。ナシ以外にもリンゴやバラ科の樹木にも伝染していきます。
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