発達に心配のある子どもをもつ保護者の会「カモミール」を創設し活動を続ける 久保 雅美さん 磯子区坪呑在住 52歳
「地域で育てる」目指して
○…「我が子の発達について不安や心配がある親同士が気兼ねなく話せる場があれば」という思いで立ち上げた「カモミール」。「『7年ぶりに来ました』という方もいる。誰かが必要とする時のために、ずっと”あり続ける”ことが目標です」と笑顔を見せる。
○…保育を学んでいた学生時代、障害児もいる学童保育施設に実習に行った。ある真夏の暑い日、多動で自閉症でしゃべることができない子どもを任された。いくら話しかけても反応がなく昼になっても砂場から離れない様子に、半ばやけくそになって自身も砂遊びを開始。砂でプリンを作ると、その子は手でぐしゃっとつぶし、その手を頬にペタペタとあてた。あっと思いつき、「プリン食べておいしいってこと?」と聞くと初めてニコーッと笑顔を見せた。「チャンネルを合わせるとちゃんと通じるんだ」――。その衝撃と感動は今でも色あせることはない。
○…実習後もボランティアやアルバイトとしてその学童に関わり続け、勤めてからもしばしば訪れた。30歳で出産し娘がダウン症と知った時にも前向きになれたのは、「そのまま受け入れてくれて相談できる人たちがいる」と思えたから。いつしか自分も、学童の保護者がおまじないのように口にしていた「地域で育てる」という言葉を、事あるごとに言うようになっていた。
○…2019年に通信教育で社会福祉士の資格を取得。今までやってきたことが学問に裏打ちされていたと気づき、「得意なことが生かせる」と思えた。さらに、ダウン症の子どもを持つ保護者とともに一般社団法人も立ち上げ。「大きなことはできないけど”頑張り過ぎず、あきらめず”、少しでも地域を良くできれば」と話した。