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かがり火番が照らす薪能 火を灯し続け10年

公開:2013年5月2日

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火入れの瞬間(ふみくらの仲間たち提供)
火入れの瞬間(ふみくらの仲間たち提供)

 日が暮れかかった午後6時。称名寺境内に設置された能舞台の両脇に、かがり火が焚かれる。空に向かって真っすぐ伸びる炎。薪が、パチッパチッと音を立てて燃える――。

 5月6日(月)に行われる「称名寺薪能」。金沢区の初夏の風物詩として定着したイベントも、今年で第16回を迎える。夜の能舞台に光を与えるかがり火は、欠かせない演出だ。

 10年に渡りかがり火番を任されているのは大倉洋一さん(64)。もう一人の諏訪勝洋さん(42)は9年の経験を持つ。「雨や風など、毎年天候の条件が違う。何年やっても火入れの時は緊張します」と大倉さん。上手く点火するか、火が消えないか目が離せないという。

 「最初は失敗続き。悔しくて、上手く火が灯る方法を寝ずに考えた」と話すのは諏訪さん。点火後10分で炎が消えてしまったのは1年目のことだ。応急処置で灯油を加えると、舞台は黒い煙で包まれた。「1200人の観客の視線が痛かった」と回想する。

 そこからは試行錯誤の連続。よく燃えるようマツボックリや細く切った角材を使い、積み重ねる順序も工夫した。諏訪さんの趣味の陶芸で得た知識から、薪は炎が長く伸び、パチパチと音を奏でるアカマツを選択。2人で薪わりをこなし、開催の3カ月前から天日干しする。それでも「まだまだ完成ではない」と口を揃えるほどのこだわり様だ。この先も、かがり火を灯すための仕掛けを探し続けるという。諏訪さんは「とても光栄な仕事。炎は人を集める大切な役割があると、かがり火番を通して気づきました」と話す。

 点火同様、毎年気がかりなのが3m先に座る観客の存在。「火が倒れないか、火の粉が飛ばないか心配」という大倉さん。無事終了した後、帰り際にかけられる「ありがとう」の声にほっとする。「薪能と名がつくくらいなので、火は絶対に絶やしてはならない。今年も成功させたい」と話していた。

インタビューに答える大倉さん(右)と諏訪さん
インタビューに答える大倉さん(右)と諏訪さん

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