「最弱チーム」懸命に率いた 横浜高・長谷川寛之主将
マウンドで優勝に湧く仲間が左翼を向いて、待っている。歓喜の輪に迎え入れられると涙が溢れた。「最後まで一緒に戦おう」。そう約束した仲間をスタンドに見ると涙で声が出なかった。
「誰よりも一生懸命。長谷川が先頭にたってよくやってくれた」―。決勝の後で渡辺元智監督は、先発唯一の3年生・長谷川寛之主将を真っ先にねぎらった。
「横浜史上最弱」とまで言われたチームの主将。「毎日が苦しかった」と胸の内を明かす。先発8人が2年生。22人の3年生がベンチを譲った。3年生は技術のある後輩に遠慮し、2年生は言うことを聞かない。打線は繋がらず練習に力が入らない名門・横浜の姿を見た。そんな時、昨年の尾関一旗主将から連絡が入った。「本気になれば思いは伝わる」―。嫌われ者でも良い。寮にいる一人一人と話した。「3年では甲子園に行けない。2年の力を貸してくれ」。その信念に態度が変わっていった。「あんな良いキャプテンを神奈川で終わらせない。甲子園につれていく気持ちでやってきた」と浅間大基選手(2年)は話す。
ベンチを外れた3年生の支えが大きかった。グラウンド整備やノックなどの練習を一切、手を抜かずにサポートした。目の治療中の小倉清一郎コーチに代わり他校へ偵察にも行った。「野球をしたい気持ちを抑えて支えてくれた」。心から感謝している。渡辺監督も「良い3年生に恵まれ、2年生がのびのびできた。力をつけた要因」と評価する。優勝の夜に行った祝勝会で、渡辺監督と平田徹部長が優勝メダルを贈ったという。
桐光学園に敗れた直後、3年生からもらったメールに今も目頭が熱くなる。「甲子園に行くという長谷川の夢をサポートする夢ができた」―。「一人じゃない。滅多にいない仲間」。その仲間を甲子園につれていく。
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