「原っぱに仰向けに寝ることはよくあるが、うつ伏せになったら、どんな景色が見えるんだろう」。木村靖一さん(88/堀口在住)は、ふと湧いたそんな疑問から、想像を巡らせる。そして一句―「うつ伏せばマンハッタンやつくしんぼ」
「我ながら俳句らしくない俳句だなあと思う。でも、それがいいとも思っています」と朗らかに笑う。
俳句に興味を持ち始めたのは小学5年生。教科書に載っていた与謝蕪村や小林一茶の句が衝撃だった。「飾らない気持ちが17文字に表されて、素晴らしいという感動がありました」
その後、開戦から続く激動の時代に入り、俳句から長く離れてしまった。しかしずっと心に残っていたのは、当時の感動だった。「人間味のある句は、堅苦しい花鳥風月を詠った句よりも自由だと思う。僕も、自由に詠みたいと思った」。17年前、退職と引っ越しを機に俳句を始めた。
「自由な俳句」を求める考え方は、自ら代表を務める句会の方針とも重なる。
句会は月1回、傳心寺(町屋町)で開催。6人のメンバーが句を持ち寄り、気に入った作品を選んで「良い所」を褒め合う。「悪い所を指摘しあうのは堅苦しいですから。先生もいません。そのほうが和気あいあいとして楽しいですよ」
最近は「自分の句を選んで欲しいという欲もなくなった」という木村さん。「まさに我が道を行くといった感じです」とほほ笑む。
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