区内の名木古木【7】 釜利谷東の「タブノキ」 縄文期の金沢の山は原生林 日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇(富岡西在住)
タブノキは別名「タモノキ」ともいい、暖かい地方に生育する常緑高木で、区内の山林で普通に見られます。数千年前まで関東沿岸部の山は、尾根筋にスダジイ、谷筋にタブノキの原生林が広がっていました。どちらも大木に成長するため、人口の増加に伴い多くが伐採され、今ではその原生林の面影はありません。
タブノキの語源は「霊の木」からきており、樹霊信仰の対象となって古くから神社や寺院に多く植えられてきました。地域によって方言名が異なり、三浦半島では「オーキ」、湘南地方では「シバ」、房総半島では「オーイ」など色々です。
春に黄緑色の小さな花をつけます。秋になると丸い果実が緑色から黒紫色に熟し、真っ赤な色をした果軸との二色効果で目立ち、鳥の餌になります。葉や樹皮は強い粘質物を含んでいるので、粉末にしたものをビャクダンやジンコウ等の香料と混ぜ、線香の粘着剤に使われます。また織物の黄八丈の茶褐色は、この粘質物にツバキの灰汁を混ぜたもので作られた色です。
金沢区の名木古木に指定されているタブノキは、次の8件です。手子神社、谷津浅間神社、金龍院(2件)、称名寺(2件)、釜利谷東、富岡八幡公園で、いずれも樹齢数百年の見事な樹木です。
次回は「オオムラサキ」です。
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