季節の花㉑ 「ヘビイチゴ」は毒? 枕草子では「名おそろしきもの」 日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇(富岡西在住)
今頃、田の畦などの湿った日向に赤い球状の実をつけたつる性多年草の「ヘビイチゴ」が見られます。中国では「ヘビが食べるイチゴ」という意味の名前が付けられているためか、毒ヘビを連想し、毒草と勘違いされるようです。実際には赤い実は無毒で、食べることも可能ですが、味は悪く食用には不向きです。
枕草子にも「名おそろしきもの」として、「くちなわいちご」と出てきます。「くちなわ」とは蛇のことで、平安時代にはよく知られていた野草の一つです。
春につる(匍匐茎)を出し、3枚の小葉を広げ、4〜5月に黄色い5弁花=写真上=を咲かせて虫を誘っています。開花後すぐに実をつけ、6月頃には赤いイチゴ状の果実となります。
同じ仲間の「ヤブヘビイチゴ」も金沢区内ではよく見られます。両者はよく似ていますが、ヤブヘビイチゴは林内や林縁に多く、全体に大きく、花弁と粒状の果実の表面には光沢があり、しわがありません。ヘビイチゴの花弁と果実の表面にはつやがなく、しわがあります。両者の雑種「アイノコヘビイチゴ」は中間的な性質を持っています。いずれも他の雑草が良く茂っている所には生育せず、草刈りをよくする日当たりや踏みつけられた場所に多く生育します。このような所に生育する植物を「人里植物」と言います。
次回は「ドクダミ」の予定です。
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