物語でめぐるわが街 『ビブリア古書堂の事件手帖5』著・三上延 KADOKAWA文・協力/磯子図書館
『ビブリア古書堂の事件手帖』は、北鎌倉の古書店の若き女主人栞子さんが、古書についての豊富な知識と想像力で、本をめぐる謎を解き明かしていく話です。この5巻の第二話「手塚治虫 『ブラックジャック』(秋田書店)」は、磯子区が重要な舞台になっています。
栞子さんは親友に、後輩からの相談にのるよう頼まれます。女子高時代の後輩菜名子の相談は、父が大切にしていた蔵書の『ブラックジャック』4巻を弟が持ち出してしまったという話でした。菜名子の一家が住むのは洋光台で、もう一つの重要な場所は磯子の浜マーケットのそば、国道沿いにあると作中に設定された書店「鶉(うずら)書房」です。
菜名子の母は5年前に癌で亡くなりましたが、危篤になり父が弟を迎えに行ったとき、父は途中で弟を待たせ書店に寄り、自分がすでに持っている『ブラックジャック』4巻を買いました。到着したとき母の意識はなく、弟は父に反感を抱きます。その書店が「鶉書房」です。
栞子さんは手元に戻った本の様子と、姉弟の祖母から聞いた話から、「鶉書房」の謎を解き、父がなぜその時、わざわざ本を買ったのかを推測します。
彼女が明らかにする事実は、初めて両親の過去を知った姉弟にだけでなく、読者の胸にも響きます。
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